フォーリンラブのバービーさんが芸人として、ひとりの女性として、日頃抱えているモヤモヤと向き合い、本音をズバッと綴っているFRaUweb連載「本音の置き場所」(毎月1回更新)。ある日、タクシーに乗った際、ドライバーさんの行動に頭を抱え、踏んだり蹴ったりだったというバービーさん。ですが、その後の流れに身をまかせたことで良い夜にもなったそう。そんな思わぬ幸せに巡りあった日、海外へ一人旅したときのことを思い出し、「行き詰まったら身を預けて、一歩を軽はずみに出してみること」が時には必要だと感じたと言います。どんな出来事があったのでしょうか。

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20分彷徨った「タクシー事件」

ある日の夜、現場からタクシーで自宅まで帰ろうとしたときのこと。

新人ドライバーさんだったのか、一方通行を逆走するわ、切り替えしができず大渋滞を引き起こすわ、さっき解散した徒歩のマネージャーに追いこされるわで、散々なドライブに頭を抱えていた。一向に自宅に着く気配はなく、むしろどんどん遠のいていく

「じゃあ、別のタクシーに乗りかえるので、車通りのあるところまで出てください」と伝えると、「僕の運転技術ではもう無理です!」と降ろされてしまった。まさかのことに、怒る気力もない。

支払った1540円のことは諦めた。だが、時はまん延防止等重点措置中。どうしても外食したい私にとって、20分のロスは相当痛かった。

そこは、初めて降り立つ土地。空腹で何も考えられない私は、疲れて帰ってお風呂に直行するかの如く、自然なスピードで目の前にあったバーに入った。そして何食わぬ顔をして、カウンターにカバンをドカッと置き、コートを脱ぎながら、ウーロンハイを注文。

「うち、初めてですか?」

これを言わせたら、もう勝ちだ。夜遊びを教えてくれたゲイの振付師のお友達に、「二丁目でもパーティーでも、おどおどしないで堂々とするのよ」と教えられて以来、初めてのお店でも常連ぶるのが得意になった。

とにかく誰かに話を聞いて欲しくて、事の顛末を、渋い、だけどもしかしたら同じ年ぐらいのマスターにすべて愚痴った。流しはなかなか通らないらしく、タクシーを呼んでくれるという。それまでの10分間で私は、ウーロンハイを3杯、テキーラ2杯、カリカリチーズ一品を平らげた。

写真提供/バービー

ひとり飲みにはよく出掛るが、ちょっと遠出もいい。なにより最近、漫画『ザ・ファブル』の影響でテキーラにハマっているのだが、見たことのない美味しいテキーラに出会えた。実に良い宵であった。