「ひえ~っ。日本人でも着たことない・見たことのないようなのばっかりだよ~」
母と祖母の形見の着物がきっかけで、着物沼にはまったイラストレーターでエッセイストの森優子さん。着物仲間とのお出かけだけでは飽き足らず、海外旅行先で現地の人たちに着せる喜びを見出した。やがて日本国内での外国人たちの着物体験事情が気になり始めたところまでを、前編「母&祖母の形見から着物デビュー。ハマって気づいたビミョーな違和感の正体」で紹介した。着物に興味があるのに着る機会がないまま帰国する留学生たちや、日本人には違和感のあるコスプレ系や観光地のレンタル着物で盛り上がる外国人観光客。この歯がゆい状況を何とかしたいと、森さんたちのとった行動とは……。

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自分たちで着せてしまおう

さて、「一般的な日本人にとっての着物とイコールのものではない」着物にはしゃぐ外国人を横目に、歯ぎしりで奥歯がすり減り始めた 2012 年に出会ったのが、日本語講師の桂千佳子さんだ。おもに外国からの留学生に日本語を教えてきた彼女も、やはりほとんどの留学生がまともな着物体験をしないまま帰国することを嘆いていた。「せいぜい夏に浴衣か甚平。ホストファミリーに小紋(カジュアル)を着せてもらえた子はラッキーなほう。せっかく日本に興味をもって来てくれてるのに、歯がゆくて」

中欧で会った彼女は、着物への強い憧れがあった。「日本に留学中に着たいと思いました。でも着たいと思う振袖は、レンタルでも高価だし、かといって、観光地の手頃なレンタルは『なんか違う』と思いまして」。作画:森優子

ああ、やっぱり。できれば「これぞ着物」っていう振袖や羽織袴を着せてあげたい。でも高価なものだし、技術も必要だし、難しいよねえ。「うんうん、そうなのよ」手を取り合って、嘆き合うかと思いきや、彼女はケラケラ笑ってこう続けた。「だからもういっそ、自分たちで着せちゃおうと思ってさ