菅田将暉さんが主人公の久能整を演じたドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ月曜夜9時~)が3月28日に最終回を迎える。第1話から11話まで2桁視聴率(世帯視聴率/ビデオリサーチ調べ)をキープし、3月15日までで見逃し配信再生が民放テレビ番組初の3000万再生を突破(3月15日時点3203万再生/ビデオリサーチ調べ)した人気作の秘密を探るべく、1500万部を超えた原作マンガ(「月刊フラワーズ」で連載中)を生み出した田村由美さんにインタビューさせていただいた記事も大きな反響を呼んだ。

前後編で公開された。写真は(c)田村由美/小学館(c)フジテレビジョン

ドラマの人気の秘密は、田村由美さんの原作の力と、それをドラマにするためのキャストの方々はじめドラマ制作陣が全力で実写化した、その化学反応によるものが大きいだろう。例えば、整くんが「ダンゴムシになっちゃだめ」と自身の悲しい過去がよみがえるときの身体の丸め方、ライカちゃんとの別れのときのあの目の潤み、1話の遠藤憲一さんをはじめとした早々たる実力派俳優たちの名演……菅田将暉さんをはじめとした俳優陣が誠実に演じているからこその『ミステリと言う勿れ』を体感することができている。

「原作の力」について語ると長くなってしまうが、虐待やいじめ、親と子の話、職業差別、ハラスメントやいじめの話、虐待のこと、人を殺すということなど、我々の生活に密着した問題を伝える「整くんの言葉の力」は大きな魅力の一つだ。我々がなんとなく感じている問題点を、誰かを責め立てるのではなく、冷静に、淡々と、そして優しく伝えるからこそ、すんなりと私たちは受け取り、ハッと気づくことができるのだろう。

最終回放送を記念して、中でも「夫婦」や「家族」についての気づきが大きいセリフをご紹介したい。

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ゴミ出し議論でわかった「家事」の本質

ミステリと言う勿れ』は名言の宝庫だ。なかでも、田村由美さんが当初は1話読み切り作品のつもりで描いたという1巻1話、ドラマの第1話は付箋をつけたくなるセリフの連続だ。ペットのこと、ジェンダーのこと、親子のこと……特に尾上松也さん演じる刑事の池本と整が妻とのケンカの話をきっかけにゴミ出しについて語るシーンは、膝を打った人が多かったことだろう。

ドラマ1話より (c)田村由美/小学館 (c)フジテレビジョン

取調室で、奥さんと喧嘩したんですか? と整から言い当てられた池本。「家のことは全部奥さんに任せきりですか?」と整に言われ、こう答える。
「でも俺、ゴミ捨てとかはしてるんですよ。少しは手伝ってくれてるって感謝してくれてもいいのになあ」

そこで整が語った言葉は「見えない家事」の本質をつく。
ゴミ捨てって、家じゅうのゴミを集めるところから始まるんですよ。分別できてなかったらして、袋取り換えて、生ごみも水切って、ついでに排水溝の掃除もして、ゴミ袋の在庫があるかチェックして、そうやってやっと一つにまとめるんですよ。そこまでが、面倒なんですけど

(c)田村由美/小学館『ミステリと言う勿れ』1巻より

ゴミ捨てとは、袋を縛られたゴミ袋をゴミ捨て場に運ぶことではない。ゴミを集め、分別し、汚れたところをきれいにし、その後ゴミ箱をもとの位置に戻し、そしてゴミ収集場に運ぶ。さらに言えばそのゴミを収集する人が持って行ってくれ、そのあとも誰かが何かをしてくれているから処理される。「ゴミ捨て」ひとつとっても、細々した「誰かの手」があるからこそ、いまこうして清潔に暮らすことができている。そんなことまで想像させられるセリフだ。

「家の中に何個ゴミ箱があるか知ってますか?」整は池本に問いかける Photo by iStock

その後、池本はゴミ捨てをするようになり、妻が喜んでいる姿を見てと語っている整のことを「なにか言ってくれそうだから」と頼りにするようになる。ドラマ1話のラスト近くで語られるのは、「育児への姿勢」についてだ。子供が生まれてピリピリしている妻のことを、池本が相談にくる。

「オレもね、なるべく育児に参加しようと思ってる。手伝ってるつもりなんだけど。どうしたらヨメとうまくいくかな」

そのときに整が語りはじめたのは、メジャーリーガーのことだった。