先月の2月15日、多発するアメリカの銃乱射事件に一石を投じる出来事があった。
米・コネチカットの小学校で多数の児童が死亡した2012年の銃乱射事件をめぐる訴訟で、使用されたライフルを製造した銃メーカーが約84億円を支払うことで被害者遺族らと和解したのだ。遺族たちはこの銃メーカーが「一般人に銃を販売した」こと、そして「銃を“男らしさ”と紐付けて宣伝した」ことを断罪した。この和解は銃産業に銃乱射事件の責任を取らせた画期的なものとなった。

この“有害な男らしさ”と無差別大量殺人の関係に切り込んだ映画『ニトラム/NITRAM』が3月25日に公開される。同作は、オーストラリアのタスマニア島にある観光地ポート・アーサーで1996年に起きた実際の事件をほぼ忠実に描いたものだ。28歳の男性が観光地に乗り込んで銃を乱射し、死亡者35人、負傷者23人を出したオーストラリア史上最悪の大量殺人事件と呼ばれている。

『ニトラム/NITRAM』あらすじ
1990年代半ばのオーストラリア。母(ジュディ・デイヴィス)と父(アンソニー・ラパリア)と暮らすニトラム(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は周囲と馴染めず孤立していた。そんななか、彼は引きこもりの裕福な女性であるヘレン(エッシー・デイヴィス)と出会う。しかし、彼女との関係は悲劇的な結末を迎え、孤独感や怒りは増し、破壊への道をたどり始める……。
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銃規制が厳しい日本では銃乱射事件は起きないが、つい昨年末、大阪で25人もの犠牲者を生んだ北新地ビル放火殺人事件が発生するなど、男性による無差別大量殺人が増えている。

大量殺人を起こす男性はどのようにして生まれるのか。また、“男らしさ”がどのように関係しているのか――。2021年のカンヌ国際映画祭の主演男優賞をはじめ多くの映画祭で映画賞を受賞した本作の監督、ジャスティン・カーゼル氏に話を聞いた。

ジャスティン・カーゼル監督 (C)Matthew Thorne