韓国ドラマで、引っ越しシーンなどで「契約金が足りない」「契約金が戻ってきた」というセリフがよく出てくる。うまく契約すると賃貸とはいえタダで住めることもあるとも聞く。それは一体どんなしくみなのか? 自分自身も日本で暮らし始めたとき、賃貸契約の仕組みの違いに戸惑うことがあったという韓国人ユーチューバーのジンさんに、韓国ならではの住宅のしくみと今韓国が抱える深刻な不動産問題について、わかりやすく解説してもらった。

以下より、ジンさんの解説です。

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損なのか?得なのか? 韓国の賃貸事情

韓国の賃貸住宅には、「ウォルセ」「チョンセ」という2種類の契約方法があります。まずウォルセは、日本と同じように毎月家賃を払うシステム。家賃の他に保証金と月々の管理費が必要で、賃貸サイトを見ると「江南(カンナム)区 1LDK 賃料150万ウォン(約15万円)/管理費10万ウォン(約1万円)/保証金3000万ウォン(約300万円)」などと掲載されています。

一方、チョンセは契約時にまとまったお金を大家さんに払い、月々の家賃は不要というシステム。たとえばソウルで、30㎡のワンルームを2年契約のチョンセで借りるとします。物件価格が2500万円だとしたら、その7~8割ほどを大家さんに収めるので、この場合は1750~2000万円ですね。大金ですが、このお金は退去時に全額戻ってきます。月々の支払いは管理費以外かかりません。

ソン・イェジン主演の『よくおごってくれる綺麗なおねえさん』は賃貸事情がよくわかる。主人公が一人暮らしを始めた部屋は30mもないワンルームだった。出典/『よくおごってくれる綺麗なおねえさん』(jtbc)
ソン・イェジンの相手役だったチョン・へインの部屋は一人暮らしにしては広め。キッチンもデカい。出典/『よくおごってくれる綺麗なおねえさん』(jtbc)

そして大家さんは、このお金を銀行に預けたり投資したりして利益を得ます。日本ではゼロ金利が続いていて、銀行に預けていてもお金は増えませんが、韓国は以前より下がったとはいえ、まだそれなりの利子がつきます。仮に2000万円を年5%で運用できたら100万円の利益になりますし、もしも大家さんが同じような物件を5軒持っていたら、何もせずとも年に500万円ずつ資産が増えることになります。

部屋を借りる側は、最初に2000万円近い大金を用意しないといけないので大変ですが、これは退去する時に返金されるので、実質的に2年間タダで住めることになるわけです。そんなこともあって、チョンセで部屋を借りられたらラッキーと言われています。とても競争が激しくて、すぐに決まってしまうから。