日本は今なら「まだ間に合う」…藤崎一郎元駐米大使が次世代に贈る直球アドバイス

人生に「もう遅すぎる」はないから

生涯に1冊だけ書こうと思って出した本

近藤: ウクライナ問題で、分刻みのご多忙の中、お時間を取っていただき、ありがとうございます。

藤崎: こちらこそ、今日は楽しみにしていました。ウクライナ問題に関しては今晩も、バイデン政権の対応について、テレビの衛星放送で述べる予定です。

近藤: 藤崎大使が出演するテレビの討論番組は、いつも興味深く観ています。先日も、ガルージン駐日ロシア大使と共演されていて、ガルージン大使がアメリカの20年に及んだアフガニスタン戦争を声高に批判したら、すかさず藤崎大使が横やりを入れた。

「1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻も忘れてはならないと思います」

ガルージン大使は、まるで自分の靴でも踏みつけられたように、ギャフンとなっていました(笑)。

藤崎: 主張すべきは主張するのが、外交の基本ですからね。

近藤: ところで、今日お時間をいただいたのは、藤崎大使がこのほど上梓された処女作『まだ間に合う』(講談社現代新書)についてお聞きするためです。

タイトルの「まだ間に合う」という言葉は、ウクライナ国民に呼びかけているわけではなくて、われわれ日本人に呼びかけた言葉ですが、日本の若者、社会人、国際的な仕事に関心がある人などに向けて、半世紀近い外交官生活のエッセンスを詰め込んだ、奥深い本になっていますね。

藤崎: 近藤さんに勧めていただいて、生涯にただ1冊だけ書こうと思って出したんです。そのため濃縮果汁のような本になりました(笑)。

近藤: そうです、混ぜ物なし、果汁100%の栄養たっぷり濃縮ジュースです。でも、このジュースを飲んでからウクライナ情勢に目を向けると、霧が晴れたように見えてくるから不思議です。

この本には、「ウクライナ」「プーチン」「バイデン」などは出て来ないけれども、「外交を司る人たちの人間学」が活写されています。外交官も政治家も、生身の人間であり、組織人です。失敗もすれば悩みもする人間たちが、この世界を動かしているのだということを再認識しました。

藤崎: おかげさまで、何人かの知人たちが早速、感想を寄せてくれているんです。宇宙飛行士の若田光一さん、山崎直子さん、ジャーナリストの古森義久さん……

 

近藤: 第1章こそ、日本の若者に向けたメッセージになっていますが、全体的には中高年の人が読んでも、人生の役に立つエッセンスが満載ですからね。

YOSHIKIさんの「『チャンスは誰にでもある』という藤崎さんの本に心から共感」、佐藤可士和さんの「読むと勇気が湧いてくる。人生のリ・デザインの実践的アドバイス」という言葉(本の帯に書かれた推薦文)も、率直な読後感なんでしょうね。

お世辞でなく申し上げますが、私がこれまで100冊以上、現代新書を読んできた中で、ベスト3に入る名著です。たとえ大ベストセラーにはならなくても、超ロングセラーになる本です。名づけるなら、日本版『菜根譚(さいこんたん)』。

藤崎: 副題に「元駐米大使の置き土産」なんて付けたものだから、藤崎は遺書を書いてくたばるのか、なんて言われています(笑)。

近藤: とんでもない、こうして中曽根平和研究所理事長の応接室で、ピンピンされているではないですか(笑)。

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