ロシア国民を混乱させる経済制裁、それでもまだ戦争反対の声は小さい

モスクワから見たウクライナ危機・後編

前編「なぜプーチンの侵攻は国内で支持されるのか-そのロジックと言論空間」でレポートしたように、ウクライナ侵攻に対するロシア国民のプーチン支持は今のところ揺らいでいない。しかし、国際社会の強烈な経済制裁は、この閉ざされた世論に変化を与えるのだろうか。

強まる対露制裁にロシア国内は

今回のウクライナ侵攻の結果、G7諸国はロシアに対して、新たな制裁を課した。その内容は、プーチン大統領とその周辺の人物、および政権に近いオリガルヒ(新興財閥)の海外資産の凍結、関係者へのビザの発行停止、主要銀行との取引停止やSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除などである。

2014年以降、G7はロシアの行動を非難するという点では一致しているが、ロシアに対する経済制裁の内容については、これまでは足並みがそろってこなかった。これは各国のロシアとの貿易事情の違いによるものであり、とりわけエネルギーなどの分野への制裁は避けられてきた。

しかし、今回の制裁ではアメリカとイギリスは、ロシアからの原油と天然ガスの輸入禁止に及んでいるのに加え、ドイツもノルドストリーム2の承認作業の停止を発表している。ドイツや日本は、程度の差はあれ、ロシアに対する制裁には参加してきたが、同時に制裁下でもロシアとの協力関係の拡大を目指してきた。しかし、今回のウクライナ侵攻により、制裁下での協力関係の拡大は、もはや当分望めなくなっている。

またG7はロシアに対する最恵国待遇の取り消しでも一致した。本稿執筆時点では戦闘が続いており、その状況次第では、ロシアに対するさらなる制裁措置が取られることだろう。

結果として、ロシアの国際社会における孤立は深まっていく一方である。

 
閉鎖されたモスクワのH&M店舗 by Gettyimages

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