父親が高カロリー食を食べていると、息子の糖尿病リスクが上がる? 遺伝と生活習慣の意外な関係

最新研究から見えてきた遺伝子のはたらき
奥田 昌子 プロフィール

父親の食生活が、息子や孫息子に与える影響

研究がとくに進んでいるのが、両親、祖父母の生活習慣と、子どもの肥満しやすさや、生活習慣病のなりやすさの関係です。親が運動せず、脂肪の多い料理を好んで食べていると、生まれてすぐに親から離して育てたとしても、子どもが糖尿病や脂肪肝になりやすいことがわかってきています。

ここで少し、具体的な研究成果をご紹介しましょう。2016年に発表されたマウスを使った研究ですが、父親が高脂肪、高カロリーのファストフードを食べていると、息子や孫息子が肥満して糖尿病を発症しやすくなる可能性が示されています。

太ったオスのマウスとやせたメスのマウスのあいだに生まれた子マウスに、欧米のファストフードに似せて作られた高脂肪食を食べさせました。実験に使った子マウスはすべてオスです。すると、太った父親を持つ子マウスは高い確率で脂肪肝や、糖尿病の予備群になりました(文献1、2)。

不思議なことに、父マウスが太っていても娘や孫娘には同じ現象はみられませんでした。

問題は精子のようです。人を対象とした調査から、肥満の男性は精子の遺伝子のうち9000個以上で遺伝子の働きを変えるスイッチが切り替わっていて、ここには脳での食欲の調節に関係する遺伝子や、神経細胞の成長を促す遺伝子などが含まれていました(文献3)。

これに先立ち、2015年には父親が肥満している子どもは、そうでない父親を持つ子どもと比較して、オフでなければならない遺伝子のスイッチがいくつかオンになっていることが確かめられていて、やはり精子を通じて遺伝子スイッチの状態が伝わったと推測されています。

この他に、父親が肥満だと、母親の体型にかかわらず子どもが糖尿病、高コレステロール血症、高尿酸血症などになりやすいという報告もあります。

【写真】父親が肥満だと、子どもは糖尿病、高コレステロール血症、高尿酸血症などになりやすい父親が肥満だと、子どもは糖尿病、高コレステロール血症、高尿酸血症などになりやすいという報告も photo by gettyimages

子どもの健康への影響というと母親の生活習慣に目を向けてしまいがちですが、母親だけでなく、父親の生活習慣や過去の経験も、子どもばかりか孫の体と心の健康に影を落とす恐れがあるのです。

関連記事