父親が高カロリー食を食べていると、息子の糖尿病リスクが上がる? 遺伝と生活習慣の意外な関係

最新研究から見えてきた遺伝子のはたらき

高血圧や糖尿病といった生活習慣病や、太りやすいといった体質は「遺伝だから仕方ない」と諦めていないだろうか。最新のゲノム研究により、遺伝が病気の発症や体質に影響する割合は、意外と低いことがわかってきたという。

一方、親の生活習慣や「気の持ちよう」が病気のリスクに影響するという意外な関係も明らかになってきているそうなのだが——。

新刊『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』から、前書きを中心に、読みどころを特別編集してお届けする。

遺伝子とはなんだろう

皆さんは、「遺伝子」という言葉を見て、どんなイメージが浮かんだでしょうか。

「あの会社は創業者の遺伝子が受け継がれている」といえば、創業者の経営理念や企業哲学を歴代のベテラン社員が若い社員に伝えてきたという意味です。

「あの子はお父さん、おじいさんにそっくりだ。遺伝というのはすごいね」となれば、血縁、血筋という言葉に象徴されるように、体と心を作る「ひな形」が血液に溶けて親から子へ脈々と伝わる様子が思い起こされます。

この2つの表現は、いずれも「遺伝子」のことを、固い石か金属に刻まれた文字のように時代をへても変わらないもの、ととらえています。逆らいがたい力を持ち、目に見えない影響を及ぼし続ける「何か」ともみており、言い換えると、これが一般的な遺伝子のイメージといえるかもしれません。

遺伝子はゲノムと呼ばれる、いわば体の「設計図」の一部です。ゲノムには、この臓器はこういう形になりなさい、この細胞はこういう働きをしなさいなどの具体的な指令が書かれています。

【写真】金属でできた強固な遺伝子遺伝子の一般的なイメージは、間違っている? photo by gettyimages

高血圧などの体質は「遺伝だからしかたがない」?

体質はすべて生まれ持った設計図をもとに作られていて、高血圧、糖尿病などの生活習慣病や、がんなどの病気、肥満、薄毛にどのくらい「なりやすい」かも設計図が決めています。ここから、どんな病気になるかは、どんな設計図を持って生まれてくるかで決まる、という誤解が生まれました。よく耳にする「私の高血圧は遺伝だからしかたがない」「うちは胃がん家系だ」という言い回しは、ここから出たものです。

けれども、体の「設計図」は紙に書かれた設計図とは違います。生きているかのように日々変化して、それまでの指令を突然取り消すこともあれば、指令を強めたり、弱めたりすることもあるのです。

そのため、生まれた時点で病気になりやすい体質を受け継いでいても、必ずしも病気になるとは限りません。両親がそろって高血圧であっても、子どもが高血圧になる確率は50%です。また、一卵性双生児は完全に同じ設計図を持って生まれてきますが、2人がそろって同じがんになる確率は意外に低いことがわかっています。

関連記事