男性がメイクやスキンケアに目覚めるまでを描いた話題のマンガ『僕はメイクしてみることにした』(講談社)単行本発売に合わせて、2020年東京パラリンピックでリポーターとして話題になり、小さいころから性別を分けて語られることに違和感を持っていたという三上大進さんに取材。自分らしさを確立するまでの経緯や、美容に目覚めたきっかけなどを伺った前編【元NHKリポーターが、性別の枠を超えた「自分らしさ」を見つけるまで】から続く後編です。

「キレイになりたい」という思いは人一倍理解できる

大学2年生の時にフィンランドに留学し、グローバルビジネスを学びました。もともとマリメッコをはじめとした北欧のデザインが大好きだったというのもありますが、私自身、セクシャリティーはマイノリティですし、左手に障害もある。もっと幅広い価値観に触れながら勉強したいなと思っていたところ、フィンランドの大学にダイバーシティマネジメントに特化した授業があることを知り、行ってみようと思ったのです。

三上大進さんインスタグラム(@daaai_chan)より
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中学・高校時代に短期留学をして英語は多少ですが話せたため、その頃は漠然と「将来はどこかグローバルな企業で働けたらいいな」と考えていました。でもフィンランドでさまざまな国籍の人に出会い、多様性に触れたことで、あらためて美容の可能性を知って。北欧って、男の子も普通にスキンケアをするし、紫外線が強いから日焼け止めも塗るんですよね。さらにはインターナショナルな環境で過ごすうちに、同じアジア系の人でも肌のトーンが微妙に違うこと、一人一人体臭が違うから使っているデオドラントも違うことなどにも気がつきました。

それぞれの人種、文化、ジェンダーによって正解がいくつもあるということは、それだけマーケットのサイズも大きいということになります。伸びしろがあって、多様性に向けて様々な答えが出せて、コンセプトも相手に合わせて書き換えられる美容ってすごいなと、その時初めて思ったんです。

私は中学の頃からの美容好きでしたし、持って生まれた左手の障がいという見た目のコンプレックスもあります。もともと無かった3本の指でなく、三上大進に残されたものを大切に、そしてキレイにすることに躍起になっていました。

そんな私だからこそ、「キレイになりたい」という思いも人一倍理解できるんじゃないか――。美への憧れや美を追求したいという気持ちと、フィンランドで知った多様性と美の定義の広さ。それらをフルに活かせるのは美容業界だと、留学を機に思うようになったのです。

フィンランドから帰国して大学に戻り、卒業後は『日本ロレアル』に就職。会社では、スキンケアの製品マーケティングを担当しました。そこから『ロクシタン』に転職。その後、NHKのリポーターを経て今に至ります。