2022.03.18
# 量子力学

光速よりも速いものは存在するのか!?

量子力学を巡るアインシュタインの悩み

アインシュタインの特殊相対性理論では、すべての物理的情報は光速を超えることができない。しかし、それが量子の世界では!? アインシュタインも苦悩したという「量子力学」に基づく物理的な情報の伝達、その理論予測を、『ゼロから学ぶ量子力学』の中から世界一わかりやすく解説します!

物理的な情報は「光速」を超えられない!?

アインシュタインの特殊相対性理論では、物理的な情報は光速より速く伝わることはない。

一般相対性理論になると、多少、事情は変わるものの、基本的には、重力も電磁力も、それ以外の力も、光速を超えることはできない(たとえば、宇宙空間が光速より速く膨張すると、超光速だと騒がれたりするが、物理的な情報が光速より速く伝わっているわけではないので、問題はない)。

量子力学も、特殊相対性理論と矛盾しては困るので、量子の物理的な情報は、光速を超えて伝わることはないことになっている。

だが……。

量子力学ができてから今日まで、根強い論争があるのも確かだ。それは、次のような状況において出現する。

光速よりも速く!?

孫悟空の如意棒(にょいぼう)は、いくらでも長くなる魔法の棒である。

【イラスト】如意棒Illustlation by gettyimages

その如意棒の両端に、矢を結びつける。ただし両端の矢の向きは、逆さまにしておく。

さて、当たり前の話ではあるが、矢の向きが逆さまなのだから、片方の矢の向きを「観測」すれば、もう片方の矢の向きは、わざわざ観測しないでも推定することが可能だ。

片方が上を向いているのなら、もう片方は下を向いている。

片方が北を指しているならば、もう片方は南を指している。

さて、この如意棒を軸に沿って、くるくると回してみよう。ちょうど車輪が回転するのと同じように、(タイヤの両輪のかわりに)両矢が回転するのである。回転しているのだから、2つの矢が指す方向は、刻々と変わる。つまり、決まった向きを向いてはいない。

回転速度も変則的なので、矢が、いつ、どっちの方向を向いているかは誰にもわからない。

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