「多様性」という言葉が徐々に広まり、性別や年齢、あるいは価値観やライフスタイルに縛られない生き方が当たり前になりつつある。少し前までは女性のためのもの、というイメージが強かったメイクやスキンケアもそう。男性、女性という性の枠を超え、誰にとっても楽しめるものとして捉えられるようになってきた。

今回は、男性がメイクやスキンケアに目覚めるまでを描いた話題のマンガ『僕はメイクしてみることにした』(講談社)単行本発売に合わせて、2020年東京パラリンピックでリポーターとして話題になり、小さいころから性別を分けて語られることに違和感を持っていたという三上大進さんに取材。性別や価値観にしばられない、自分らしい生き方について話を聞いた。

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着たいけど、着ちゃいけないものがこの世にはある

私の現在のキャリアは、スキンケアアイテムのプロデューサー業を主軸に、様々な企業のマーケティングのコンサルティングをおこなっています。他にYouTubeやインスタグラムでも、美容関連の情報を発信しています。

美容を語る方がたくさんいるなかで、一人くらい肌もすごいキレイってわけじゃないし、顔の造作も特に整ってないけど、なんか楽しそうに美容をやってるなーって人間がいてもいいのでは、と思ったんです。「肌に負担をかけない形でスキンケアや美容を楽しみましょう」というマインドを先行させています。

三上大進さんインスタグラム(@daaai_chan)より

そんな私がジェンダー(もちろん当時はそんな言葉は知りませんでしたが)に初めて触れたのは、幼稚園生の時。幼稚園に、おままごとをする際に履くスカートみたいなエプロンがあって、それを私が履こうとしたら、先生から「男の子は履いちゃいけない」と言われたのです。

花柄でピンク色の、とってもかわいいエプロンでした。その時初めて「着たいけど着ちゃいけないものがこの世にはあるんだ」と知った私。わずか4~5歳にして、性で分けられるという衝撃的な体験をしたわけです。この一件は母にも報告され、私は家でも「あれは女の子のものなのよ」と諭されるはめになりました。

その時の大人の声音は今でも鮮明に覚えています。子ども心に「あ、これは触れちゃいけないものなんだな」と思いましたし、はっきりした理由はわからないながらも、そこにあるタブーな空気は感じ取っていた気がします。