『のだめカンタービレ』『逃げるは恥だが役に立つ』『東京タラレバ娘』……ドラマ化もされ今も多くの人に愛され続けるマンガたち。そんな名作を数多く残したマンガ雑誌『Kiss』が創刊30周年を迎えました。

FRaUwebでは、『Kiss』30周年を記念し、『Kiss』とその姉妹誌でもあった『mimi』(1975創刊~1996年休刊)に掲載された懐かしい少女マンガの名作をリレー形式で掲載します。FRaUwebスタッフが作品の魅力を伝えていくとともに、期間限定の無料試し読みも公開しています。

短期連載の第2弾は、吉田まゆみさんが描いた『アイドルを探せ』。時はバブル全盛期、80年代の女子大生の生活や想いをリアルに描いた作品として、多くの読者から愛された作品です。編集部のMは、まさに主人公と同世代。80年代バブル期の恋愛を振り返りつつ、当時の吉田まゆみさんを知る編集担当の話も交えて、『アイドルを探せ』の魅力をご紹介します。

マンガ/吉田まゆみ 文/FRaU編集部

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ねぇ、きみどこの女子大?

「80年代」と聞くと、どんな印象を持つだろうか。バブル景気に浮かれて、多くの人が羽目をはずしていた時代……。ディスコ、カフェバー、女子大生、DCブランド、セーラーズ(渋谷にあったマリン系のアパレルブランド)……。今のようにスマホもSNSもない(ポケベルもまだなく、通信手段は家の電話のみ。PCもない……)のに、流行のものが次々と登場し、瞬く間に消えていった。一体どうやって流行が広まり、浸透していったのか、あの流行の移り変わりの速さは謎でしかない。

自分自身も夜な夜な新宿や六本木のディスコや、めいっぱい背伸びして西麻布(当時は霞町と呼ぶのが通だった)のカフェバーにもいそいそと出かけていた。そして、そんな場所で出会った人には必ず聞かれた。「どこの女子大?」と。

『オールナイトフジ』を連想させる冒頭。時代は、「女子大生」が絶対的上位な時代だった。

今だったら、「どこの女子大って何ですか? その言い方失礼だよね」と言い返すかもしれないが、当時の自分はできなかった。おかしな話だがバブル時代、女子大にゼッタイのモテ・ヒエラルキーがあり、聖心、フェリス、清泉白百合、青短(青山学院の短期大学。2019年募集停止)あたりのお嬢様大学と呼ばれていたところが最上位を占めていた。メディアもモテ・ヒエラルキー上位校の女子大生を登場させた。雑誌『JJ』などでもそんな女子大生たちが誌面を飾った。

モテ・ヒエラルキー圏外の学生だった私は、「どこの女子大?」と聞かれるたびに、嘘をついた。ヒエラルキー上の中ぐらい(さすがに最上位校は口に出来なかった)の学校名をいくつか用意して相手に合わせて使い分けるという技を身に着けた。嘘つきだし、詐欺じゃんと言われればその通りだ。今思うと何ともお恥ずかしい話だが、どうせその場でいっしょに踊ってノリを体感するだけ。相手だって、慶應だの青学とか言っているけど、それも本当とは限らなかった。

一瞬のバカみたいに楽しい時間を過ごすために、こんなモヤモヤとする嘘が存在していたのだ。

でも、そんな虚像の中にも出会いはある。嘘を言ったあとの雑談でメチャクチャ話が合う男性だということがわかり、「嘘なんてつかなきゃよかった。見栄をはらなきゃよかった」と後悔したこともあった。でも、そんな出会いで本当のことを言って報われるはずもなく、嘘のままつきあっても結局はうまく行くはずもなく、単に自分には似合わない足が痛くなる高いヒールを無理やり履いていただけ、だったのだ。