裁判所の資料「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別」によると、令和2年度で家庭裁判所への離婚申立があったのは夫からが15500件、妻側が43469件。その理由で妻から申し立てられた動機の1位は「性格が合わない(16304)」2位が「精神的に虐待する(10948)」、3位が「暴力をふるう(8576)」、4位が「異性関係(6505)」である。対して夫から申し立ての理由の1位と2位は同じだが、3位が「異性関係(2132)」、4位が「浪費(1883)」である。ともに異性関係が離婚の動機となっている割合は14%程度だ。

しかし「異性関係」を動機とし、その理由とするためには、それを証明することが重要になる。それに、上記の数字は申し立てだから、もしかしたら理解し合い、離婚しない場合もあるだろう。いずれにせよ現実を見極めるために探偵事務所を活用する人も少なくない。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績があるのが、私立探偵・山村佳子さんだ。彼女は、離婚調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。「浮気調査の多くは、離婚を有利に進めるために行うことが多いですが、それが家族の再生につながることもあります」と言う。この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。その具体例をお伝えする第1回では、妻の異性関係を疑う男性が語った「離婚したくない理由」についてお届けする。

山村佳子
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持つ女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
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中学受験塾に通う息子が見た、母の「女の顔」

365日24時間、相談を受け付けている私のところに、慎二さん(仮名・45歳)からのメールが来たのは深夜1時でした。
切羽詰まっている様子がわかり、電話をしてもいいかとメールをすると、すぐに事務所の番号に電話がかかってきたのです。その後、5分ほどお話をして、翌日カウンセリングルームでお会いすることにしました。

慎二さんは、ほっそりとしていて、背が高い。天然パーマのクシャッと感と細いフチのメガネがオシャレな今っぽい紳士です。

「昨夜は深夜にメールをしてごめんなさい。あのとき、息子が“ママを塾の近くで見た。変なおじさんとエッチなところに入っていくのを見た”と言っていたんです。息子は小学校5年生なので男と女の間に何があるかはわかっている。“エッチなところ”というのはラブホテルのことです。息子が通う中学受験塾の近くには、そういう場所があるんです」

息子に慎二さんが「なんでママってわかったの?」と聞くと、ベージュのコートに、紫のバッグという愛用品を身につけていたからと言ったそうです。

Photo by iStock

ここ2年ほど、妻(43歳)の様子がおかしいんです。それまでは教育熱心な専業主婦だったのに、気が付けばときどき外泊するようになったんです。理由を聞くと、“あなたがテレワークで家にいるので息がつまる”とのことでした。妻はひとりで映画や本を読むのが好き。私が会社へ、息子が学校に行っている間、1人の時間を楽しんでいたそうです。しかし、コロナでその時間が無くなってしまったので、心身に不調をきたしている。そこで、ビジネスホテルに宿泊して、1人の時間と空間を満喫しているとのことでした」

慎二さんは、IT関連企業の役員でもある。その収入は高い。妻にはふんだんに生活費を託しているそうです。
「外泊が月に1回が2回になり、毎週になるまでにはあっという間でした。私も忙しいので特に気にかけていなかったのですが、息子からそういうことを聞くと、看過できません。どこの誰とホテルに行っているのかも知りたいのですが、それからどうするかということについては、全く気持ちが定まっていないのです」