待ったなしの環境問題に対して、世界はどのように行動しているのでしょうか。海や森の汚染問題、カーボンニュートラル、プラスチック、リデュースとリサイクルなど、様々な問題への国内外の最新の解決策から、未来へのヒントを見つけたいと思います。今回は、日本の情報の中でも、“衣食住”の「衣」に関するものを中心にご紹介。
【富山県】tototo
鱗模様が美しいフィッシュレザー
漁業文化の根付く富山県氷見市で生まれた、フィッシュレザーブランド〈tototo(ととと)〉。代表の野口朋寿さんは、大学の卒業研究の際にレザーの“なめし加工”、つまり生の皮から丈夫な革へと加工する技術に興味を持ち、魚の皮にも応用できないかと模索しはじめ、3年かけて実用化した。
本来なら廃棄される魚の皮を地元の魚屋から譲り受け、身や脂を削いで塩漬け。その後さらに脂分を徹底除去し、なめし加工と染色を施す。完成までに1ヵ月という手間のかかる作業だ。美しい鱗模様はクロスハッチ構造になっているため、魚の皮の薄さからは想像できないほどの強度がある。
ブランド名は、魚を意味する“魚々(とと)”に“と”を加え、“魚々と”人間が共存するようにとの思いを込めた。
【大阪府】KAPOK KNOT
木の実のワタ由来のサステナブルなコート
アパレル業界の大量生産・大量廃棄に疑問を持った深井喜翔さんが、2019年に「Farm to Fashion」をテーマとするファッションブランド〈KAPOK KNOT(カポックノット)〉を設立。
「カポック」とは東南アジアに自生する植物のこと。実の中のワタはコットンの1/8の軽さ、吸湿発熱の機能を備え、樹齢5年目から50年以上実が生なり続けるため、長期間にわたり繊維を収穫することが可能だ。
〈KAPOK KNOT〉のコートを選ぶことで、1着あたり約30羽の水鳥の羽を使わずに済むという。
軽くて短い繊維の特性により糸への加工が難しいとされてきたが、国内大手繊維メーカーとの研究開発の末、カポックのシート化に成功。
新素材「エシカルダウンカポック™」は、5mmの薄さでダウンの暖かさを実現した。