2022.03.18
# 年金

年金がカットされるくらいなら「働かない方がマシ」…56歳会社員が陥った「大きな誤解」

山中 伸枝 プロフィール

特別支給の老齢厚生年金月9万円は、支給開始年齢引き上げスケジュールにのっとって対象時期になりましたら受け取りの手続きをします。老齢年金は、65歳の支給開始年齢をご自身の判断で早めたり、遅らせたりすることもできますが、特別支給の老齢厚生年金は繰上げ、繰下げの対象外です。

高木さんの先輩は、嘱託社員として月27万円の給与がありました。ここに年金が9万円上乗せされれば、月36万円になりますから、お子さんたちが独立し夫婦二人になった世帯であれば十分な収入です。

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しかし、在職老齢年金は給与と年金額を合算して一定以上であれば年金額がカットされる仕組みです。

当時の計算式は((総報酬月額相当額+特別支給の老齢厚生年金月額)- 28万円)÷ 2 = 支給停止となる年金額 となっていましたので、実際に数字を入れて検証してみましょう。

総報酬月額相当額というのは、その月の標準報酬月額(つまり給与だと思ってください)と、その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12(つまり直近1年間の賞与の12分の1です)で考えます。高木さんの先輩の場合は、27万円になります。

ここに特別支給の老齢厚生年金額9万円を足すと36万円で国が定めた基準値28万円を8万円超えてしまいますから、この2分の1である4万円が支給停止される年金額となります。

つまり本来9万円を受け取れる権利があるにも関わらず、働くことにより月4万円、年間約50万円もの年金が受け取れなくなるのです。

この状況を理解すると、先輩が「うかつに働くと損をする」と言った意味も納得がいきます。高木さんは、自分には特別支給の老齢厚生年金がないにも関わらず、真剣に耳を傾けて下さっています。

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