ぷつりと途絶えた仕事の依頼

法律事務所では、パートナーの評価は売上げで決まる。顧客からたくさんの仕事を依頼される花形のパートナーは、恵みの雨をもたらす人という意味で“レイン・メーカー”と呼ばれる。

一方、アソシエイトの評価は労働時間で決まる。アソシエイトはサラリーマンではなく、個人事業主だ。ラインで働くのではなく、仕事は個人に割り振られる。顧客から依頼を受けたパートナーは、個別のプロジェクトごとにチームを作って、アソシエイトをアサインする。優秀な人ほど多くの仕事を与えられ、その労働時間が顧客にチャージされて、事務所の売上げとして計上される。

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さらにいえば、固定給と残業代のサラリーマンではなく、アソシエイトの報酬は顧客にチャージされた労働時間に比例した歩合である。ゆえに、忙しさは能力の指標であり、収入の基準にもなる。

そういう環境で、どのパートナーからも仕事が振られなくなるのは、精神的にも経済的にも相当きつい。そして、そのときは唐突に訪れる。それまで途切れることがなかった仕事の依頼が、あるときぷつりと途絶えたのだ。

私の評価は高くはない。とはいえ、普通の仕事を並みにこなせるアソシエイトとして、時間に余裕があれば一定の仕事を割り振られるはずだった。有名なパートナーの中には、アソシエイトを評価する第一の指標として“アベイラビリティ”、つまり、「空きがあること」を挙げる人もいる。

超優秀で、多くの仕事が集中している弁護士に新しい案件をお願いして後回しにされるよりも、並みの弁護士に第一順位で専心してもらいたいという考えも当然あるはずだ。