アップルの「狙い」
アップルは日本時間の3月9日早朝にイベントを開催し、今春の新製品群を発表した。
アップルは例年、春と秋に新製品を発表する傾向にある。昨年はコロナ禍もあってやや遅めの4月開催だったが、今年は3月の発表となった。

秋はその年の最新型iPhoneを発表するのが恒例となっているのに対し、春の発表は毎年、フォーカスされる製品が異なる。今年は、Macだ。
アップルの「狙い」はどこにあるのか? 各製品に秘められた「巧みな半導体戦略」に注目しながら、分析してみよう。
当然のアップデート
少し前から、「この春のアップルの発表会では、ある製品がリニューアルされる……」と囁かれてきた。低価格で手に入れやすいことから人気の高い「iPhone SE」だ。
その予測どおり、今回はiPhone SEが「第3世代」へと更新されている。

デザインは従来どおりで、指紋センサーである「Touch ID」を搭載している。だが、「中身」はずいぶん変化した。
まず、通信が「5G対応」になった。他のスマホを見ても、もはや5Gに対応していない新製品を探すほうが難しい状況なので、当然のアップデートといえるだろう。
iPhone SEに「A15 Bionic」を搭載
次に、機器としての性能を決めるプロセッサーが、昨秋発売の「iPhone 13シリーズ」と同じ、最新の世代である「A15 Bionic」になっている。CPUの動作クロックなど、カタログに書かれていない細かなスペックが異なる可能性は高いが、処理速度の面で大きな向上が見られるであろうことは間違いない。
さらに、バッテリー動作時間も伸びている。

とはいえこれは、2020年に「第2世代iPhone SE」が出たときのことを考えると、予測できる話ではあった。
第2世代のiPhone SEも、その前年の2019年秋に登場した「iPhone 11シリーズ」と同じプロセッサーである「A13 Bionic」を使っていた。
アップルの方針として、iPhone SEでは、
・その時点で最新のプロセッサーを搭載する
・そのうえで、同じモデルを2年間、販売する
という考え方があるのだとすれば、今回の「第3世代」もまた、「第2世代」と同様の発想でつくられている……と考えることができるからだ。
このように、「第3世代iPhone SE」はコストパフォーマンスの高いモデルといえるが、もう一つ、お買い得なモデルとして登場したのが「iPad Air」だ。