働き方改革、そして新型コロナウィルス禍の中でテレワークとなる人が増えた影響か、東京23区から別の街へ出て行く人の数が、新たに転入してくる人を初めて上回ったそうです(総務省が22年1月28日に発表した2021年住民基本台帳の人口移動報告による)。春の足音も徐々に近付き、引っ越しを考えている方も多いのでは?
そんなあなたにおすすめするマンガが『妖怪アパートの幽雅な日常』です。香月日輪さんの名作ヤングアダルト小説を原作に深山和香さんがコミカライズしたこの作品の魅力や見どころをご紹介。

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なにかと心をざわつかせることが多い昨今、なんとなく疲れを感じつつ「変わらなきゃ……」と焦っている方は、ちょっと立ち止まってこの作品で「幽雅」なひとときを過ごしてみませんか?

原作/香月日輪 マンガ/深山和香 文/FRaUweb

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高校進学、やっと一人暮らしできると思ったら……

香月日輪原作・深山和香漫画『妖怪アパートの幽雅な日常』/講談社

両親を事故で失った稲葉夕士は商業高校に進学することにした。資格を取得し、卒業後はすぐに社会に出て働きたい、早く誰にも迷惑をかけない大人になりたいという思いが強かったからだ。事故後に夕士を引き取った親戚の家から出て、高校の寮で一人暮らしをすることに決めたのもそれゆえだった。友人に少し心配されるほど頑なに、夕士は「自立した社会人」を目指している。

が、念願の新生活がやっと始まると思った矢先、引っ越す予定の学生寮が火事で全焼! 建て直しまでに半年以上かかると言われた夕士は、今すぐ引っ越したい思いを断ち切りがたく、新しい引っ越し先を探すためいくつもの不動産会社を巡る。しかしすでに三月下旬、予算2、3万円の未成年が一人暮らしできるような部屋などぜんぜん見つからず…… 。

香月日輪原作・深山和香漫画『妖怪アパートの幽雅な日常』/講談社

そこに救いの手が。妖怪、幽霊、除霊師! クセが強すぎるけど優しい住人たち

不思議な縁の導きで、夕士はワケあり物件を斡旋してもらうことに。アパートの名は「寿荘」。築年数はかなりのものかもしれないが、一見した限りではなかなかにモダンで味わいのある建物だ。

香月日輪原作・深山和香漫画『妖怪アパートの幽雅な日常』/講談社
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住人たちは賑やかで何かと親切だった。愛読していた憧れの詩人が偶然にも住人だったり、一学年上の女子高生が自分と同じくこのアパートで一人暮らしをしていたり。「ワケあり」に少し構えていた夕士だったが、まずは一安心といったところ。
しかし、妙に広いアパート内をよくよく観察してみると

香月日輪原作・深山和香漫画『妖怪アパートの幽雅な日常』/講談社

何やら人ならざるモノたちも一緒に暮らしているようで……。

香月日輪原作・深山和香漫画『妖怪アパートの幽雅な日常』/講談社

そう、ここは「妖怪アパート」。さまざまな事情をかかえた霊や妖怪たちが身を寄せ合って暮らす場所。そしてそんなアパートに住む「人間」たちもまた、一筋縄ではいかないクセ者揃い。48歳なのに20代にしか見えないワイルド系の画家、怪しすぎるアイテムを扱うイケオジ骨董屋、顔が良すぎる凄腕霊能力者……個性豊かと言うにはあまりに濃いメンツだ。
だがそんな住人たちは、それぞれのやり方で夕士を優しく受け入れる。夕士もまた、人間や妖怪、霊たちと分け隔てなく付き合ううちに、性急に「大人」になろうとあがくのではなく、少しずつゆっくりと成長していく道を探し始めるのだった……。