2022.03.08

【介護士の実体験】痩せ細った利用者に「大きいサイズ」の服ばかり届ける家族の「謎」

今、自分や身内に介護が必要のない方でも、いつかは介護をする・されることになります。そんな時、何を準備したら良いのでしょうか。多くの人が様々な「見えない不安」を抱えていると思います。

私自身は介護の仕事に就いて10年以上が経過し、これまでに介護士として特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、サービス付き高齢者住宅など、数多くの介護福祉の現場を経験してきました。

実際に介護という仕事をしている身として感じる事の一つに、介護保険や施設選び、費用などについての説明は数多くあるものの、高齢者向けの施設内では実際に何が起きているのか、そこで暮らす人達はどの様な事をしているのか、現場の実態に触れる情報が少ないのでないかと感じています。今回は実際の事例を交えながら「どのように老いや死と向き合っていくべきなのか」について一緒に考えていきたいと思います。

※本稿は一部『誰も書かなかった介護現場の実態 現役介護士が直面する現代社会の闇』(彩図社)の内容を再構成してお届けしています。

突然、親の介護が必要になったら…

「私ね。今年65歳になるんだけどさ、まさか本当に自分が65歳になるなんて想像してなかったのよね。その前に死んじゃうとかそういう話じゃなくて、自分がいま、65歳だっていう感覚が不思議で仕方ないのよ」

ベテラン職員の話を聞いて、20代の若い職員達はこの人は一体何を言っているんだろうとでも言いたげな顔をしながら聞いていました。その話を聞いている最中、私は過去に在籍していた施設で出会ったワタナベさん(仮名)の事を思い出していました。

ワタナベさんは60代の方で、親の介護が急に必要となり、複数の施設を訪ねて環境などを聞いて回っている、という方でした。

「本当に申し訳無いのですが、もう一度。お手数なのですが、もう一度だけで結構ですので最初から説明して頂けませんでしょうか?」(ワタナベさん)

写真はイメージ/photo by iStock
 

私の在籍する施設を訪れたのは16時頃で、朝から3、4件違う施設を回って来たとの事。施設の特徴、条件、そして何より、介護保険制度とそれらにまつわる料金についての説明を何度も何度も真剣に聞いていらっしゃいました。

「介護保険や制度は本当に複雑で、施設側の私達でもやっと理解してやっている事なので、介護に携わらない人が理解出来ないのは当然です。説明するのも私たちの仕事ですから、安心して何度でも聞いてください」(職員)

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