もはやプーチンには追い詰められた上での「核恫喝」しか手は残っていない

プーチン・ウォッチャーが悪夢の警告

ベラルーシ核ミサイル配備を強行するのか

前編「第2のキューバ危機を狙ったはずがウクライナの泥沼」に嵌まるプーチン」で解説したように、プーチンは冷徹に計算し、アメリカとの交渉を行うという点で、かなりいいところまで来ていた。しかも、ベラルーシへのミサイル配備など、もう一段押せるカードを持っていた。

by Gettyimages

だが、ウクライナ侵攻という全く関係ない方向に行ってしまった。その結果、ロシア自身のこれまでの外交努力と、そうして得た、その相当な成果を自らぶち壊してしまった。

ベラルーシへのミサイル配備については、おそらく、まだどこかで実行すると考えられる。最終的にはもう1回、キューバ危機を演出するというところまで行くことになると思う。その時に初めて、核ミサイル、安全保障原則の確立について交渉を再開するという形にはなるが、ウクライナ侵攻以前の段階でこれを行うことに比べ、リスクもハードルも相当高くなってしまう。

それ以前に、このままだと、制裁の結果、ロシア経済は保たなくなるだろう。だとすれば、この経済制裁を招いたウクライナ侵攻はあまりに無謀というしかない。それまでの外交がはっきりとした戦略的方向性を示し着実に目標に向かっていたのだから、この方向違いは、どこかで計算違いを起こしたのだとしか考えられない。

何よりもう国際社会との関係は元には戻らない。

例えばドイツは、ロシアに対するエネルギー依存の問題があるので、当初、強硬姿勢は難しいかと見られていたし、実際、動きは鈍かった。しかし、侵攻が始まると、すかさず経済制裁に入り、ウクライナへの支援も決めた。軍備増強も決めた。さらにロシアとの関係を切ると意味になる、エネルギー政策の見直し、石炭と原子力の延長まで検討し始めている。これは冷戦後の独ロ関係から見ても、ロシア経済にとっても大きな動きだ。

日本を考えてみても、冷戦後これまで関与政策、共同事業を続けてきたが、中核となるエネルギー開発のサハリン1,2は、ロイヤル・ダッチ・シェル、エクソン・モービルが相次いで撤退を発表した。これらのプロジェクトに参画している日本企業は踏ん張るにしても撤退するにしても苦渋の決断を迫られる。このままいけば、おそらく中国が全部取っていくのだろう。中国一人勝ちだ。

 

ロシアの冷戦後の「復興」は、これら西側諸国への石油・天然ガス事業で経済を支え、それらの国々と安定的な協力体制を作り上げ、その上に成り立ってきたが、これでは全てがご破算となりかねない。これはどう考えても自殺行為だ。

関連記事