ウクライナ侵攻、キエフ制圧の先に見据えるプーチンの「本当の狙い」

それでも「戦略的敗北」は避けられない

ロシアとウクライナの戦争が激化している。戦闘はウクライナの首都キエフ、第2の都市ハリコフなど全土で行われている。

その一方で、両国の和平交渉が2月28日、ベラルーシで行われた。欧米は、強力な経済制裁によって、ロシア経済に壊滅的打撃を与えようとしてる。

今、ロシアとウクライナと取り巻く情勢は、どうなっているのだろうかーー。

ロシア国民を驚愕させた「キエフ侵攻」

ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日以降、ロシア全土で、連日、大規模な反戦デモが起こっている。人権団体OVDインフォによると、2月28日までに、反戦デモ参加者6400人が逮捕されたという。

なぜロシア国民は、この戦争に反対しているのだろうか?

Gettyimages

実をいうと、ウクライナ全土に侵攻するという事態は、ほとんどの国民にとって「想定外」だったのだ。

プーチンは2月21日、ウクライナからの独立を目指す自称ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国の独立を承認した。この時点では、反戦の動きは起きていなかった。

なぜだろうか?

ウクライナ東部にあるルガンスク、ドネツクの住民はロシア系が多く、ロシア語を話す。2014年3月、ロシアがクリミアを併合したとき、彼らの一部は「私たちもロシアに編入してほしい」と考えた。

翌月、ルガンスク、ドネツクは、人民共和国の建国を宣言。ウクライナ政府は当然これを認めず、内戦が勃発した。

この内戦は、2015年2月の「ミンスク2合意」で、停戦が成立している。しかし、その後も、散発的戦闘はつづいていた。

ロシアメディアは、「ウクライナがルガンスク、ドネツクの同胞をジェノサイドしている」と報道しつづけたため、多くのロシア人が信じていた。そのため、ロシアが独立を承認したとき、「プーチンがようやく同胞を救ってくれた」と考えた人が多かったのだ(一般国民は「国際法的にどうか」ということまでは考えない)。

 

プーチンが「平和維持軍を派遣する」と宣言した時も、ロシア国民の多くは「同胞を守るために仕方ない」と考えた。しかし、2月24日、状況は一変する。

プーチンはこの日、「特殊軍事作戦を行う」と宣言し、ウクライナ全土への攻撃を開始した。これは、ほとんどのロシア国民にとって、完全に意外な展開だった。キエフ侵攻に至っては、驚天動地の事態だ。

ロシアの起源は、12世紀から15世紀に存在したキエフ公国にある。そこを攻撃するというのは、日本人的にいえば、奈良や京都を軍事攻撃して破壊するような感覚だろうか。ここから、ロシア国内での反戦運動が盛り上がっていったのだ。

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