春めいてきたと思うと、本屋にはダイエット本が並び、ネットにも「痩せなくちゃ」「その体型で大丈夫!?」といったダイエットを煽る見出しが並ぶ。周囲の目や価値観、広告……、私たちの生活に蔓延する「痩せなくてはダメ」という空気。

でも、その空気によって苦しむ人は少なくない。現在、プラスサイズモデルとして活躍し、ボディポジティブなメッセージを積極的に配信している吉野なおさんもそのひとりだった。

なおさんがダイエットの苦しみから脱して気づいた、底なしのダイエット沼の恐怖と危険。価値観や人間関係、そして健康までも変えてしまう「ダイエット」の問題点とは一体何なのかを前後編でお伝えする。前編では、なおさんの経験も交えて、ダイエットとリバウンドについて寄稿してくれた。

※以下より、吉野なおさんの寄稿

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ダイエットに人生が乗っ取られていない?

「やせれば可愛いのに」
「なんか太った?」
「そんなに食べると太るよ」
「太った人はだらしない、痩せてる人は自己管理が出来てる」
「肥満は不健康だから痩せた方がいい」

面と向かって言われなくても、日本に暮らす女性なら、こんなメッセージを、日々目の当たりにしているのではないだろうか。

ひとつひとつは些細なものかもしれない。でも、小さなジャブでも何度もあびせられれば、沸点に達してしまう。「今の私はダメなの?」と自分の体を否定的に捉えるようになり、「このままじゃマズイ」「太らないようにしなくては」とダイエットをはじめたことがある人は意外と多いはずだ。

そんな思いではじまったダイエットはどんなものだったのだろうか? そして、その後多くの人が経験するリバウンドのときはどんな思いだったのだろうか? 想像するに、ダイエット後に起きる異常な食欲やリバウンドを「意志の弱さ」「減量の失敗」と捉えて、自己嫌悪に陥っている人が多いような気がする。

しかし、食欲を我慢し制限するような食べ方を「ダイエット」と呼び、その後のリバウンド現象を「失敗」だと思っているとしたら、むしろそれが「太りやすくなる原因」だと思うし、心身に不調をきたすミスリードになっている可能性があるとお伝えしたい。

ひたすら食欲と戦い、体重の数値が減ればよいということだけに囚われ突き進んでしまうと、いつのまにか色んな落とし穴にはまり、人生がダイエット思考に乗っ取られてしまうことがあるからだ。

ダイエットに心が支配されてしまうと痩せても痩せても満足できなくなってしまう。photo/Getty Images

以前の私はまさにそんな思考の持ち主だった。私自身、ダイエットの沼に堕ち、痩せられれば何でもいいお化けに憑りつかれていたのだ。だからこそ、今まさに痩せたい呪いにかかり、即効性があるダイエット方法を試しまくるものの「痩せたいと思えば思うほど太る」という経験をしている人に、今回の記事を読んでもらえるよう、祈りながら書いている。