2022.03.03
# 嗜好品 # 醸造

のんべえに優しい魅惑の酒、焼酎が健康に良い理由とは?

本格焼酎4つのメリット

焼酎は、その味や香りだけでなく、「健康に良い」ことも大きな魅力です。酔い覚めが良く、二日酔いしにくいだけでなく、近年は焼酎のさまざまな健康効果が明らかになりつつあります。いったいなぜなのでしょうか。焼酎ほど"のんべえ"に優しい酒はないと思っています。

講談社ブルーバックスから発売された拙書『焼酎の科学』から、おいしくて体にも良い焼酎の秘密をご紹介していきましょう。

焼酎がお湯割りで飲まれるようになったわけ

焼酎が広く飲まれるようになった理由の1つは、「体に優しい健康的な酒」であるという認識が広まったことです。かつて焼酎は"強い酒"と思われてきましたが、この常識が覆ったのは昭和50年代初頭からのお湯割りの飲み方が広まってからのことだと考えられます。

それまで、米焼酎や泡盛は35度くらいのものをストレートで飲むのが普通でした。しかし芋焼酎だけは、お湯割りの低濃度で飲まれてきました。なぜかというと、明治時代以前のどんぶり仕込みと呼ばれる製法では、芋焼酎はアルコール度が低い焼酎しか造れなかったことが関係しています。

サツマイモのデンプン含量は米の3分の1程度しかなく、また、米麹の使用割合が低く、さらに芋焼酎のモロミは粘性が高いために高濃度の仕込みが難しいことから、20度程度とアルコール度の低い芋焼酎となります。これはストレートで飲んでも米焼酎よりずっと低いですが、芋焼酎を造っていた薩摩の人々はこれくらいの低濃度の焼酎を飲み慣れていたのです。

大正時代になると芋焼酎の醸造法が大きく変わり、米麹の割合が高い二次仕込法が定着して、高濃度の焼酎が造れるようになりました。そこで低濃度の芋焼酎に慣れていた薩摩では、芋焼酎がお湯割りで飲まれるようになりました。

【写真】米麹米麹。米麹の割合が高い二次仕込法が定着して、高濃度の焼酎が造れるようになった photo by gettyimages

水割りではなくお湯割りだったのは、水を加えることによるアルコール度の低下や温度の低下によって、芋焼酎に含まれる不飽和脂肪酸エチルエステルが溶けきれなくなって油様に析出して白濁し、べたつき感が感じられたためだと考えられられます。お湯割りにすると、この成分を溶かし込むことができたのです。

現在は、過剰量の白濁成分をろ過により除去して商品化しているため、水割りでもおいしく飲むことができるようになっています。

この焼酎独特の"低濃度で飲まれる芋留酒"は、その後の焼酎の発展に大きく貢献することになりました。現在では芋焼酎に限らず、水割りやお湯割りなどで割って飲むことが一般的になっています。この「割って飲む」文化が、焼酎らしさの原点をなしていると考えられます。

焼酎らしさとは

  1. お湯割りで飲める蒸留酒
  2. 新酒で飲める蒸留酒
  3. 料理に合う蒸留酒
  4. 酔い覚めの良さ
  5. 多様な個性
  6. 醸造酒のように飲める蒸留酒

本格焼酎、4つのメリット

焼酎の飲み方では、「ロクヨン(焼酎6にお湯4)」「ゴーゴー(焼酎5にお湯5)」という言葉がよく聞かれます。25度焼酎のロクヨンのアルコール度は15%で、ゴーゴーは12.5%です。焼酎は蒸留酒でありながら、清酒と同じか、それより低いアルコール度で飲まれているのです。

低濃度であればこそ繊細な和食の風味を損なわず、また酒の中でもとくに油を溶かし込む効果が高い蒸留酒であることから、油っこい料理にもよく合う食中酒としての万能性を備えています。酔い覚めの良さも、蒸留酒であることと、低アルコールで飲まれることに由来しています。

蒸留酒でありながら、醸造酒である清酒と同じように飲まれるという点もユニークです。私たちが焼酎を飲む場面を想像してみましょう。

目の前に料理(酒の肴)があり、コップにはお湯割りの焼酎が入っています。何気ない光景ですが、これは焼酎が蒸留酒であることを思えばじつに奇妙な光景です。コップの中の焼酎の温度は清酒のお燗と同程度で、アルコール度もほぼ同じ、見た目にも焼酎か清酒かわからない、何より酒の肴まで一緒です。清酒と焼酎の関係は、ワインとブランデーの関係に相当します。ブランデーはワインの代わりにはなりませんが、焼酎は清酒の代わりになっているのです。

また、本格焼酎は蒸留酒なので、蒸発しない糖分等を一切含んでいません。痛風の原因になるプリン体も含まれていません(下表)。

アルコール飲料に含まれるプリン体量 (100mlあたり・公益財団法人痛風・尿酸財団)

蒸留酒

  • 焼酎(25%) 0.0mg
  • ウイスキー 0.1mg
  • ブランデー 0.4mg

醸造酒

  • 清酒 1.2mg
  • ワイン 0.4mg
  • ビール 4.4〜6.9mg
  • 地ビール 6.8〜16.6mg
  • 発泡酒 2.8〜3.9mg
  • 紹興酒 11.6mg

お酒は、それぞれが固有の魅力を備えています。しかし、次のようなメリットを考えると、健康を考えながら飲むとしたら本格焼酎に勝るものはないように思います。

  1. 本格焼酎には、糖質は一切含まれません
  2. 本格焼酎には、プリン体は含まれません
  3. 本格焼酎は、低濃度でおいしい酒です
  4. 本格焼酎は、料理との相性抜群の食中酒です

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