日本のテレビ報道はなぜここまでダメになってしまったのか? 金平・青木が全部バラす

青木理・金平茂紀対談【後編】
かつて『筑紫哲也 NEWS23』という画期的な報道番組があった。同番組の編集長を務め、現在は「報道特集」キャスターの金平茂紀が、ジャーナリスト・青木理ととも日本のジャーナリズムの危機と課題について語り合った連続企画の後編をお届けしよう。

(対談の前編はこちらから

少数者であることを恐れるな

青木 それにしても、旧来型メディアの筆頭である新聞やテレビは、これからますます凋落し、崩れ落ちていくでしょう。金平さんはメディアの行く先をどう見ていますか。

金平 悲観的とか楽観的というよりも、オールドメディアがオンラインメディアによってテイクオーバー(征服)されていくのは、時代の必然だと思うのです。オールドメディアとオンラインメディアが対立するのではなく、これから両者は入り組んで融合していくんじゃないですか。

2040年までに、ニューヨーク・タイムズは紙の新聞をやめてオンラインに一本化するそうです。

青木 今やニューヨーク・タイムズのデジタル版契約者数は1,000万に達したようですからね。

金平氏(左)と青木氏 金平氏(左)と青木氏
 

金平 紙媒体が激減する中、オンライン版のニューヨーク・タイムズの読者は逆に激増しています。彼らが出す記事の内容、充実ぶりはすごいですよ。読者が読めるのは文字情報だけではありません。アメリカの連邦議会議事堂でトランプ支持者による占拠事件が起きたとき(2021年1月6日)、中にいる記者は、テレビ局の記者と同じように実況リポートをしました。トランプ派の人間がどういうふうに乱入してきて、中で何が起きているのか。彼らのレポートはとんでもなくクオリティが高く、そしておもしろいのです。

青木 考えてみれば、プリント時代のニューヨーク・タイムズは、メディアとしての影響力やステイタスは別としても、発行部数でいうとわずか数十万程度だったわけです。

金平 ニューヨークのローカル紙でしたからね。

青木 一方、アメリカでは中堅の地方紙などが大量に潰れました。そうした地域はメディア、ジャーナリズムの砂漠地帯、空白地帯となり、トランプを熱狂的に支持したレッド・ステートとも重なり合います。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった一部のステイタス・メディアがデジタル版で読者層を世界中に広げて息を吹き返したとはいっても、メディア状況は全体としていまだ混沌としていて、明るい未来はまったく見えません。

金平 オールドメディアが生き残るため、オンラインメディアの打ち壊し運動なんてできません。独裁国家ならインターネットを禁止するだろうけど。メディアのオンライン化は、もはや後戻りできない流れです。

時々刻々すさまじい情報があふれ返る中、人々は情報の海で溺れかかっています。そういう中で、今みんなが「世の中の見取り図」を必死に求めていると思うんですよ。クリティーク(批評)を提供してくれる論壇の機能を、新聞やテレビ、ラジオといったオールドメディアは果たしていくべきではないでしょうか。

青木 とはいえ、たとえばテレビの現状は惨憺たるものですね。僕も多少は関わってきましたから他人事ではありませんが、各局のワイドショーや夕方のニュース番組などは論外だし、今のテレビには大人の鑑賞に堪えうるクリティークがほとんどありません。

金平 テレビはその機能を自ら放棄してしまったのです。

関連記事