2022.03.28
# ビジネス

リーダーが「いい人」すぎても逆効果…チームの「心理的安全性」を損なう「3つの落とし穴」

リーダーにとって、もっとも重要な能力は何だと思うだろうか? 「強さ」でも、「厳しさ」でも、「頭のよさ」でもない。近年、ビジネスの世界で重要視されているのは、場の「心理的安全性」をつくる能力である。

前編記事〈リーダーは強くなくていい…チームの「心理的安全性」をつくる「7つの行動」〉に続く本稿では、起業家・経営学者で、著書『だから僕たちは、組織を変えていける』を出版した斉藤徹氏に、心理的安全性をつくるうえで陥りやすい、「3つの落とし穴」について解説していただいた。

「ホールネス」が心理的安全性の基盤

前編記事では、心理的安全性を壊してしまうリーダーの特徴と、場の安全性を高めるためにできることを紹介した。

Photo by iStock

しかし、「場の心理的安全性を高めたい」と頭ではわかっていても、なかなか一筋縄にはいかないものだ。自分自身の感情と向きあう必要があること。参加する全員がそれを理解し、実践する必要があること。環境に大きく影響されること。つまり、参加する人たち全員が意識し、相互に調和することで、場の安全性は保たれる。

その前提を理解せず、単純に「場を安全にしよう」と考えてもうまくいかず、逆に迷路に迷い込んでしまうことが多い。この記事では、心理的安全性をめぐる試行錯誤の過程で陥りやすい落とし穴を、3つほど提起したい。

(1)「気配りこそ命」という誤解で、評論家が増えてしまう

はじめに、心理的に安全な場をつくろうとするあまりに、相手の反応や顔色をうかがうことが習慣化して、自分を主張できなくなってしまう問題をとりあげよう。

これは、仲がよくなりすぎるチームに起きることが多く、「集団浅慮」と呼ばれている。他にも、初対面で探り合う場、権威あるボスを囲む場などでは、つい空気を読みすぎてしまうために、意識しないと本音で話すことは難しい。逆に本音で話そうと意識しすぎると、思わず対立を強調するような口調になってしまうこともあり、なかなかやっかいだ。

また、心理的安全性を過剰に意識するリーダーや、いい人に見られたい意識が強いリーダーも、この落とし穴にはまりやすいので注意が必要だ。

リーダーがメンバーにとって聞こえのいいことしか言えないと、メンバーは「自分は正しいのに現実が思い通りいかないのは、環境に問題があるからだ」と考えはじめて、他責の思考習慣がつきやすい。すると評論家のような意見が増え、チームの求心力が弱まってゆく。

リーダー自身も「この言葉はメンバーを傷つけないか」「どう表現すれば場が和らぐのか」と、意識が言葉選びに向いてしまう。「強がりの仮面」ではなく「いい人の仮面」をかぶることになり、自身の心理的安全性を落としてしまうのだ。

 

このような落とし穴にはまらないためには、意識を内側(人間関係)から、外側(使命や価値創造)に向けることが重要だ。そして、自然体で振る舞う習慣をつけることだ。

心理的安全性の基盤は、「ホールネス(自然体の自分をさらけ出すこと)」である。リーダーであれば、他者に聞こえのいいことを言うのではなく、自然体の自分に戻って、自分の悩みや弱さもオープンにした上で「組織をよくしたい」「価値を生み出したい」と、自分の思いを情熱的に語ろう。

いかなる場面においても、メンバーがホールネスで参加する行動習慣がつくことで、組織の生産性と個人の幸せが、ともに高まる素地ができるのだ。

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