アメリカ人監督が捉えた日本の人権侵害

2021年3月、名古屋入国管理局の施設においてスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡した事件で発覚した入管の闇。無期限収容、医療ネグレクト、暴力、ハンガーストライキに自殺……そうした事件を隠蔽する体質も明らかになりつつある。

ウィシュマさんが亡くなる以前から、そんな入管の闇を“撮影”し続けていたアメリカ人監督がいる。

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ニューヨーク生まれのトーマス・アッシュ監督は、父親が牧師という敬虔なクリスチャンの家庭に生まれ育った。2000年より日本に拠点を移して以来、原発事故後の福島で子どもたちの甲状腺検査や生活を映し出した『グレーゾーンの中』(2012)や『A2-B-C』(2013)、終末期医療をテーマにした『おみおくり〜Sending Off〜』(2019)など、日本の問題を浮き彫りにするドキュメンタリーを制作し続けている。

アッシュ監督は2019年から教会のボランティアとして茨城県牛久市にある「東日本入国管理センター」(以下、牛久入管)の収容者との面会を始め、彼らが衰弱していく姿を目の当たりにした。長期収容と人権侵害に抗議するため、約100人の収容者がハンストを行っていたのだ。命がけで抗議する彼らを目前に、監督は「何かがあった時のため、彼らの声を証拠として記録なければならない」という使命感に駆られたという。

2月26日に公開されるドキュメンタリー『牛久』は、牛久入管に収容される人々との面会をアッシュ監督が隠し撮りした記録である。海外で様々な映画賞を受賞した本作はいかにして生まれたのか、監督に話を聞いた。