2022.03.04
# 週刊現代

天才・藤井聡太の「頭脳」はこう働いている…! 最新の研究でわかった「意外なこと」

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「盤面を見た時、まず脳は視覚野を使って情報を把握します。ここまでは一般人も棋士も同じです。この後、プロ棋士は楔前部という空間的な情報を処理する分野と、尾状核という行動を選択する神経核を使い、瞬時に次の一手を検討します。

これはどちらも直感に基づいた判断をする時に使われる部分で、速い方は0・2秒ほどで答えを導き出していました。藤井さんの場合は特有の回路が洗練されているため、処理速度が圧倒的に速いと推測されます」

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尾状核は、目の前にある3つの飲み物の中で「どれが一番好きか?」と聞かれた時のように、ほとんど悩む必要のない質問に答える際に使われている。つまり、藤井5冠は私たちが単純な質問に解答するのと同じように、ほぼ思考することなく最善手を導き出していると考えられる。

藤井5冠には、さらにほかの棋士と違う特徴がある。「脳内で将棋盤を想像することはしない」と発言している点だ。

通常、棋士は頭の中で将棋盤を思い浮かべ、駒を動かし次の一手を検討していく。しかし、藤井5冠は指し手を検討する際、「2三桂」「4五飛」といった数字と記号の並びである、棋譜だけを用いているという。

鍛えることはできる

『マトリックス』という映画をご存じだろうか。同作のオープニング映像では、一見すると無意味に思えるデジタル表示された数字やアルファベットが、雨のように次から次へと落ちていく。

これと似たように、藤井5冠の脳内は「棋譜の雨」が降っているような状態だと考えられる。将棋の場合、一手につき約80通りの指し手があり、次、その次と進むと何億手もの候補手が現れる。

一般人にとってはまったく意味がなく見える、何億通りもの棋譜の並びから、彼は瞬時に最善手を導き出しているのだ。東海大学情報通信学部の中谷裕教氏が解説する。

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