2022.02.26

「過干渉で支配的な母親」のせいで「人との距離感」がわからなくなった30歳女性の苦悩

行政書士であり公認心理師でもある佐藤千恵さんが、ご自身が受けてきた相談をもとに様々な人間関係の悩みについて考える本連載。今回は、過干渉な母親に悩んできた女性の相談です。

「過干渉」という問題

親からの虐待を含むマルトリートメント(=「不適切な養育」のこと)には様々なものがありますが、「過干渉」もその一つとされています。一見すると熱心に子どもの世話をする良い親に見えますが、子どもが一定の成長した後も過干渉となると、これは子どもにとっては「境界が守られていない」状態です。境界線を越えて自己に侵入されるような不安や不快感を生じさせます。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

また、自分の境界が守られなかった子は、大人になってから自分と他者の境界がよく分からず、人間関係の距離感がうまくとれない困難を抱えることもあります。今回は私が過去に担当したこのような事例について、プライバシーに配慮し再構成した内容をご紹介します。

数年前にカウンセリングを担当させて頂いた春香さん(30歳・仮名)は、当初とても不安げな印象でした。春香さんの主訴は、

「人間関係で苦労することが多く、職場でもなかなか周囲と打ち解けられません。それがつらくて今も退職を考えています」

という内容でした。これまでも職場で人間関係が作れず退職することがあり、結果、仕事が安定しないこと。さらにずっといわゆる「生きづらさ」のようなものを感じていて、それを何とかしたいとカウンセリングを希望されました。そこで、一定のアセスメント(カウンセリングの前段階で行う様々な査定)を経て、いつものようにまずは春香さんの成育歴を聴いていきます。

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