「家族と恋とゴハン」。人生の基盤と彩りをテーマに、日常に潜む悲喜こもごもをふりかけたドラマ『おいハンサム!!』(フジテレビ/東海テレビ 土曜23時40分~)。本作は『おいピータン!!』『おいおいピータン!!』『渡る世間はオヤジばかり』ほか、ショートコメディの名手・漫画家の伊藤理佐の原作をリミックスした、令和のホーム&コメディドラマである。
主人公の父親を吉田鋼太郎さん、その妻であり母親をMEGUMIさん、三姉妹を木南晴夏さん、佐久間由衣さん、武田玲奈さんが演じ、その伊藤家を中心に、キャラの立った人物が続々登場する。テンプレではない、魅力的なキャラクターはどのようにキャスティングされたのか。監督・プロデューサー・脚本を務める山口雅俊さんが過去の名作ドラマに遡り、語ってくれた。
藤原竜也さんの紹介で吉田鋼太郎さんに会う
まずは主役の吉田鋼太郎さんだが、その縁は以前手掛けたドラマ『新しい王様』(2019)に遡る。
「『新しい王様』の打ち上げということで藤原竜也さんと二人で飲みに行ったときに、まだ面識がなかった吉田鋼太郎さんが合流してきて紹介されました。ちなみに藤原竜也さんは飲む量がなかなかで、一緒に飲んでいるとどんどん人が増えていく。彼と互角に飲めるというのは、僕にとって『現役の仕事人でいる』を図るすごく大事な目安なんです(笑)。
その彼と『新しい王様』を今後どうするかといったことを話しているうちに、酔った藤原くんが吉田鋼太郎さんを呼んだわけです。そこからやりとりが始まったんです。そして今回の『おいハンサム!!』に出てくれることになったので、吉田鋼太郎さんがやってくれるならと『親父』を主人公にすることに決まりました。逆に言えば伊藤理佐さんの作品をドラマにすることしか決まっていなかったんです。吉田さんがお父さん役をやってくれることになって、企画としての安定感も増した。『おいハンサム!!』クランクインのインタビューで、“僕の代表作になるかもしれない”と言ってくださったので、僕としても、とても励みになりました」
かつて「ユリイカ」のインタビューで、山口監督は『闇金ウシジマくん』では山田孝之をキャスティングできたことで成功が見えたと言っていた。今回は吉田鋼太郎がその役割を担ってくれた。その後伊藤家のキャストで一番早く決まったのは、実は妻であり母親、千鶴役のMEGUMIさんだった。
「MEGUMIさんが奥さん役というのは、かなり早い段階から決まっていました。彼女とは以前、『やれたかも委員会』というドラマを一緒にやり、さらに『新しい王様』でも香川(照之)さんのナンバー2という、難しい役をやってくれた。当時、MEGUMIさんにナンバー2の役をお願いすると香川さんに言ったら、ものすごく喜んでくれたんです。あの飄々とした人が近くにいてくれたら、すごくやりやすいと。
今回の『おいハンサム!!』では、時代は令和ですが、吉田さん演じるお父さんは昭和的な価値観を持った男なので、その奥さんは飄々としていて暑苦しくないほうがいい。MEGUMIさんは三姉妹のお母さんにしては年齢が若いのですが、イメージとしてぴったりなんです。なので、かなり早い段階でお願いしていました」