「ウクライナ侵攻」の背後で、プーチンと習近平が抱えている「独裁者のジレンマ」

だからこそ、動きが制限されている

予想通り、五輪後に事態が動いた

ロシアがついに、ウクライナに対する軍事侵攻を開始した。事態は流動的だが、もう1つの焦点は中国だ。中国はどう動くのか。本音では、ロシアを応援しているとはいえ、表立って支援もできない。中国は「本音と建前のジレンマ」に直面している。

ウクライナ問題について、私は昨年12月から一貫して「ロシアは北京冬季五輪が閉幕する2月20日直後に侵攻する」という見立てを書いてきた。

「現代ビジネス」では、昨年12月10日付の「習近平の“笑顔”が消える…『台湾侵攻』後の中国を待ち受ける米『逆襲の経済制裁』」、ことし1月14日付の「習近平とプーチンが、台湾とウクライナで起こしうる『最悪のシナリオ』」、さらに先週2月18日付の「プーチンが『世界中を油断』させたウラで進めている『ウクライナ侵攻準備』の実情」、「夕刊フジ」や「四国新聞」のコラムも同様だ。

なぜ、そう見たかと言えば、ウラジーミル・プーチン大統領の意図は、初めから明らかだったからだ。

ロシアのプーチン大統領[Photo by gettyimages]
 

最初のコラムで指摘したように、プーチン氏は、かねて「ロシアとウクライナは1つ」と主張していた。加えて、将来の話とはいえ、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟によって、NATOの勢力圏がロシア国境に迫るのを容認できなかった。

一言で言えば、彼の主張は「もともとオレの縄張りであるウクライナを取り戻したいだけだ。遠く離れた米国は邪魔するな」である。米国の軍事力が圧倒的で、戦う意思も十分だったなら、侵攻を躊躇したかもしれないが、米国は昨年8月、アフガニスタンから撤退したばかりで、戦争疲れしている。

プーチン氏にとっては「いまが絶好のチャンス」だったのだ。そのうえで、いざ侵攻するとすれば、いつだったか。

何度も指摘してきたように、第1に、中国が威信を賭けて開いた北京五輪の開会中に事を起こして、迷惑をかけるわけにはいかない。次が気象条件。2月後半なら、地面が凍結して、戦車などが進軍しやすくなる。2014年のクリミア侵攻もソチ五輪の直後だった。

以上を考えれば、おのずと、Xデーは「北京五輪閉幕後の2月20日直後」に絞られる。実際、その通りになった。

北京五輪の閉会式[Photo by gettyimages]

日本では、一部に「ウクライナ侵攻はディスインフォメーション(偽情報)」とか「侵攻はありえない」といった声も出ていた。だが、私に言わせれば、そんな意見こそが「偽情報」である。「経済的に合理性がない」という見方もあるが「どんなに非合理であっても、やるときはやる」のが独裁者である。

たとえば、これで核戦争にでもなったら、まったく合理的とは言えない。だが、プーチン氏はクリミア侵攻の1年後に「いざとなったら、核兵器を使ってでも戦うつもりだった」と告白している。ロシアや中国を語るときに、独裁者の立場になって考えなければ、今後も判断を誤るだろう。

 
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