実際に、調査したゼミ生のなかにも「閉店」の言葉につられて衝動買いしてしまった経験がある学生がいた。閉店セール中のあるカバン店で、定価1万円以上するというバッグが3000円まで値引きされていたため、「閉店するからそれだけ大幅に値下げしている」と思って買ったという。
しかし、1年後にその店を訪れると、まだ閉店セールは行われていて、バッグは同額で売られていた。本人は騙されたという気持ちになり、悔しかったと述べた。
法律に触れているのか?
商品やサービスの広告や表示は業界や商品ごとの規制法が多数存在するが、包括的に規制する法律は消費者庁が所管する景品表示法(景表法)だ。過剰な景品類と不当な表示(広告)を規制する。
そこでの不当表示の主な判断基準が「優良誤認」と「有利誤認」だ。簡単に言うと「優良誤認」はモノの品質・性能に関わる不当表示、「有利誤認」は取引条件に関わる不当表示だ。
閉店セールで「在庫整理につき80%オフ」などと表示して、通常1万円のモノを2000円で販売しているとした場合、1万円で販売していた実績がなければ不当な二重価格であり、「有利誤認」にあたる。では閉店セールを謳いながら閉店しないこと自体は不当表示なのだろうか。立教大ゼミでの問題提起もあり、消費者庁、JARO(日本広告審査機構)が考えを示している。