1987年に出版された『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』以来、今なお多くの子どもから愛されているご長寿&大ヒット児童書シリーズ『かいけつゾロリ』。
“いたずらの王者”を目指すもどこか憎めないキツネの主人公「ゾロリ」と、双子のイノシシの子分「イシシ」「ノシシ」の活躍を描く冒険劇だ。2004年に放送されたテレビアニメを皮切りに、当時の小学生の間で社会現象とも言える人気となった。
そんな『かいけつゾロリ』は今年、シリーズ35周年を迎え、出版元のポプラ社の公式サイトでは、35周年を記念したスペシャルサイトが開設されている。また今年4月からは、NHK Eテレにてテレビアニメ『もっと!まじめにふまじめ かいけつゾロリ』第3シリーズが放送される予定であるなど、アニバーサリーにふさわしい盛り上がりを見せているのだ。
そこで今回は、35周年という節目にゾロリの生みの親である作者・原ゆたか先生にインタビュー。長い歴史のなかで特に印象に残っているシーンや、本作に込められたメッセージについて語ってもらった。

親向けの深いメッセージも子どもに響いていた感動
――シリーズ35周年を迎えた『かいけつゾロリ』ですが、どのようにして作品の基盤が出来上がったのでしょうか。
ゾロリは、もともとみづしま志穂先生作の「ほうれんそうマン」シリーズに登場する悪役でした。そのシリーズがしばらく休刊することになり、ゾロリを主人公とした「かいけつゾロリ」シリーズを私が作・絵ともに担当して書き始めることになったのです。『かいけつゾロリ』シリーズは、ゾロリがいたずらの王者を目指して修行の旅に出る設定にしました。
ゾロリのお供にイシシとノシシを加え、旅をしながら各地で悪いことをしようとしては失敗する水戸黄門の悪バージョンのような物語を書こうと考えました。
子どもたちは、いたずらが好きで、少し悪いことにあこがれる時期もあります。自分がやったら怒られてしまうようなことを本の中でゾロリがやってみせることですっきりすることもあるでしょうし、失敗させることで<悪いことはうまくいかない>ということを伝えられるのではないかと考えました。