泣いて、笑って、銀メダル!ロコ・ソラーレ大躍進のウラ側に迫る

オリンピックは「ご褒美の時間」??
竹田 聡一郎 プロフィール

綿密な準備がもたらした銀メダル

新型コロナウイルスの影響で近年は、大幅に活動は制限されたが、遠征先でも自炊をしたり、当地の飲食店にデリバリーを頼んだり、合宿地の軽井沢に向かうのに都心を避けて松本空港を利用するなど、極力リスクを避けながら歩みを続けた。

今回の北京五輪もしかり。2月4日の開会式は本来、出席したかったはずだが、女子カーリングは10日が初戦のため、現地入りは5日。極力、競技を優先したスケジュールを組んだ。

やるべきことはすべてやったはず。あとはご褒美の時間だから楽しんで

今回は地元・北見市からテレビを見ながら応援していた本橋は、選手をそう送り出したという。

そのご褒美の時間、ロコ・ソラーレの面々は泣いて笑って、喜怒哀楽を全身でめいっぱい表現しながら、11試合を戦い抜いた。あるいは銀メダルさえもそのご褒美だったのかもしれない。

Photo by gettyimages

本橋は大会後、「勝ったり負けたり、笑ったり泣いたりする日本代表ロコ・ソラーレを最後まで応援していただきありがとうございました」というコメントを出しているが、おそらく銀メダル獲得の要因のひとつは間違いなく綿密な準備だろう。

そしてそれを済ませたことで、大舞台でも感情を素直に出せる術が身につき、気持ちの切り替えや開き直りが奏功したのかもしれない。

 

2026年、2030年に向けて

オリンピックがあって変則的な今季は、5月にロコ・ソラーレのホームリンク、アドヴィックス常呂カーリングホール(北見市)で開催される日本選手権が最終戦になる。

カーリングは五輪シーズン後に選手の移籍や進退発表などが頻繁に行われるため、気になるのは5選手と、チームの今後だ。

藤澤五月が大会後に「手の届くところまで来た金メダルを今日は触ることはできなかったので、今後のことをしっかり自分自身でも考えて、次の4年間を過ごしたい」とメディアに語っているように、今後の去就は明確ではないが、4年後の2026年ミラノ/コルティナ大会までの現役続行に含みを持たせた。

本橋も「まずは応援してくれた方にお礼を伝えてから先のことは話をします」とコメントしていたが、他のメンバーやチームの今後は、近いうちに語られるに違いない。

そしてさらにまた4年が経つと、8年後の2030年の開催地は札幌が本命視されている。ここを目標にしている国内のカーラー(カーリング競技者)は多い。

そんなことを踏まえたうえで昨年、「2030年、札幌開催になったらどういう動きをするの?」と本橋に聞いてみたことがある。本橋はその質問にこそ明確には答えなかったが、「ふふふ」と含み笑いをしたあとで、「私はけっこう欲張りなんです」とだけ笑顔で言った。

一方で、銀メダル獲得から一夜あけたオンライン会見で本橋は「大人が諦めてはいけない。子どもがときめく瞬間をたくさん作りたい」と発言。次世代のカーラーに期待を寄せ、サポートしていく意向を示した。

欲張りなロコ・ソラーレと本橋麻里の次なる準備はもうすでに始まっているのかもしれない。

本橋麻里『0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方』

2018年平昌五輪での銅メダルに続き、2022年北京五輪で銀メダルを獲得したカーリング女子日本代表チーム「ロコ・ソラーレ」。2大会連続メダル獲得の快挙はいかにして成し得たのか。
「ロコ・ソラーレ」代表理事の本橋麻里氏が、これまでのカーリング人生で培ってきたコミュニケーション術、組織マネジメント術、リーダー論を余すことなく語り明かした実践的ビジネス書。

関連記事