2022.02.22
# 週刊現代 # 日本酒 # 社長

日本酒の「沢の鶴」が世界中で大ヒットした、意外すぎるワケ

西村隆社長が語る
1717年創業の酒蔵・沢の鶴。同社のマーケティングは巧みで、ビール市場に「微アルコール」が登場する前から低アルコール度数の日本酒を販売するなど、今も新市場の開拓に熱心だ。15代目・西村隆社長(44歳)に「300年企業」になり得た理由を聞いた。

「同じことをしていてはダメ」

私たちは「同じことをしていてはダメ」ということを継承してきたのだと思います。

例えば私の祖父は昭和初期、業界に先駆けて日本酒の輸出を始めています。今、海外で日本酒がブームになり、市場規模が前年比1・5倍にもなる中、当社がこの波に乗れているのは当時の挑戦があったからです。

ちなみに祖父は昭和中期にイタリア車に乗るほどの新しいもの好きでした。変わったインプットがあるから、人と違うアウトプットができたのかもしれません。

私自身は意識的に面白い方と会うようにしています。そして、よく「去年の沢の鶴に比べ今年はどこが違うか」と考えます。

今は山田錦と双璧を成す新たな酒米の品種づくりにチャレンジしています。

photo by iStock

山田錦は米粒の中心部分「心白」が大きく脂質やたんぱく質が少ないなど、お酒造りに向いています。ただし、稲が高く台風で倒れやすいなど育てにくいのです。

研究はヤンマーさんと共に行っています。先方の「農業を盛り上げたい」という想いと、我々の「良い酒米を安定的に仕入れたい」という想いが重なったのです。

コラボが成立する条件は「互いの知見を補い合えること」と「理念が近いこと」。我々はいずれも合っていたから、予算、時間など様々なハードルを乗り越えられているのでしょう。

 

「食品」にかかわる者としての意識

跡継ぎだからと特別な教育を受けたことはありません。子どもの頃、イベントの時に酒蔵を見せてもらい、社員さんに可愛がってもらううち、自然とここで働きたいと思っていました。

社長になるまでの経験で大きかったのは、新卒で雪印乳業に入社し、食中毒事件を経験したことです。

SPONSORED