ケンカを超えて特別になったママ友たち

私もママ友に恵まれている。何人か特別なママ友がいる。昨年、娘がサッカー選手になるために海外へ渡る前、ひとりのママ友Mちゃんは私の外出中、娘に餞別を渡しに来た。白い封筒には、手紙とドル札が何枚か入っていた。若い頃、洋服のバイヤーで何度も米国と日本を往復していた彼女いわく「家にドル札があったから、役立つかな」と言って。
帰宅すると、娘が「Мちゃん、あり得ないくらい号泣してた」。保育園のときから知っているので、わが子同然なのだろう。

もうひとり、ママ友のKちゃんは、彼女の子どもが小学生だったころ、中学受験をさせる、させないで私と言い合いになった。人様の家の中学受験に口を挟む私に対し、彼女は「余計な事を」などと言わない。
「ユウコさんが本当にうちの子のことを思って言ってくれてるのはわかる」と言って聞いてくれる。最終的に中学受験をさせ、二人とも中高一貫校へ。上の子は途中でドロップアウトしたが、大検を経て希望の大学に入った。結構な口げんかになったが、揉めたぶん、彼女は私の妹のような存在になった。

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特別な「ママ友」に救われた

もうひとり、友人と呼んでいいのかわからないが、特別なママ友がいる。小児科医で脳科学者でもある成田奈緒子さんだ。お会いして15年ほど。古くからの仕事仲間でもある。先生に取材し、たくさんの記事を書いてきた。AERAの『現代の肖像』でも書かせてもらったし、昨年は『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』という本も作らせてもらった。

息子が小学5年生くらいの頃、何かにつけて肩を揺する様子が見受けられた。すぐに自家中毒だと感じた。かかりつけの小児科医の先生に診てもらったら「ほっとけば治りますよ」と言われたが、そう言われても気になる。

そこで、成田さんに話してみた。成田さんによると、自家中毒は、自分の意思とは関係なしに目をぱちぱちしてしまう癖が主で「チック」と呼ばれる。筋肉が突然自分の意思とは関係なしに動いてしまう特徴があり、瞬き以外に肩をすくめる、唇を動かすといったものから、手を勢い良く振り回してしまって隣の子を叩いてしまう、大きな声が授業中などに出てしまうものまで多彩だという。

「チックのほとんどが一過性で、一年以内に症状が消失します。つまり『癖』と捉えてよいものです」と、いつものように立て板に水のごとく説明してくれた。

本人が気にしていたりする場合は、島沢さんがいくら気づいていても、気にならないふりをしたほうがいいね。大丈夫だよっていう演技をするといいよ。え? ママは気づかないけど? みたいな感じで」

私は言われたとおりにした。ひと月も経たず、息子の肩揺すりは消えた。何が悪かったんだろうと思い悩む私に、成田さんは「もう元気なんでしょ? 早寝早起きもしてるんだよね? なら、問題なし」と言ってくれた。こうやって彼女の「問題なし」に何度も救われた。

きれいごとだけではなく、本当に自分たちのことを考えて口にしてくれているか。それは問題が生じた時ほどわかるものだ Photo by iStock

友達は多いに越したことはないけれど、何人かの特ママがいればいい。私が担当してもらっている編集者は、コロナに罹ったが、食材の買い出しなどすべてママ友がやってくれたという。そういえば、台風のときに夫は出張でドキドキしてたら、高層階マンションに住むМちゃんからラインが来た。
「やばいと思ったら早めにうちに来て」
小さな川の横に建つわが家を案じてくれたのだ。旦那より、ママ友に支えられているのが現状である。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」今までの記事はこちら