「ママ友」に限らず、「友だち」は必ずいなければいけないものではない。特に「ママ友」は子どもが絡んでくることもあって、助けになることもあれば、ストレスのもとになることもありうる。ただ、子どもを介して知り合った人同士が、本当に親しくなれたら、それは素敵な出会いと言えるのではないか。

長く教育の現場を取材してきたジャーナリストの島沢優子さんが、受験を機に友だちとなれる「ママ友」の存在をしったという例をもとに、ママ友との友情は成立するかどうかを考察する。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」今までの記事はこちら
-AD-

合格間違いなしと言われた中高一貫に…

都内に住むA子さんは数年前の2月9日。都立の中高一貫校合格発表の日、泣きじゃくる息子にこう言われた。
「お母さんがかわいそう!」

そんなこと思わなくていいのに――首を横に振っては見たが、そう言わせたのは自分だとわかっていた。勉強はリビングの食卓でつきっきりで教えた。塾弁は栄養のバランスを考え、土日は昼と夜2食作った。成績がよく自慢の息子だったから親のほうも必死になった。都立中学は、私立中学と違って費用は掛からないし、そのまま高偏差値の都立高校に上がれるため高倍率だ。それでも受験前に「都立中高一貫、合格間違いなし」と塾講師に言われ、親子とも舞い上がった。

勉強をつきっきりでみて、昼と夜、栄養バランスも考えたお弁当を2食作るサポート。「合格間違いなし」の言葉を信じ込んでいた Photo by iStock

「模試の判定は気持ち半分で見てくださいね」と言ったのは、あの先生なのに。そのことを忘れ、つい「先生のおかげです。ありがとうございます」と頭を下げてしまった。冷静さを欠いてしまった自分が今となっては忌々しい。

通っていた小学校では、中学受験をするのはクラスの3分の1ほど。不合格なら近所にある公立中学校に行くという約束だった。ところが、息子は「第一希望に落ちたから恥ずかしい」と言い始めた。お試し受験した片道1時間半の私立へ通うというのだ。授業料に定期券代。パート時間を増やしても家計はかなり苦しい。公立でいいじゃない。いやだ、恥ずかしい。親子げんかをしているうちに、息子は不登校になった。

朝も起きてこない息子が不憫でならない。そもそも小学4年生のとき「今から塾に通えば受験は一回で済むよ」と受験を促したのはA子さんだ。今さら私立は無理とも言えず、入学を許してしまった。少しずつ落ち着きを取り戻した息子は学校に行き始め「私立で頑張るから」と元気を取り戻したが、母親のほうは素直に喜べない。