「葉っぱ切り絵を生業にする人」として2022年2月13日の『情熱大陸』に紹介されたリト@葉っぱ切り絵さん。1枚の葉っぱから切り絵を作り、自分で撮影をして、インスタグラムにその作品を投稿しはじめたのは2020年1月のこと。それから2年の月日がすぎ、その作品集『いつでも君のそばにいる』とメッセージカードブック『離れていても伝えたい』合わせて10万部を超えています。

アーティストとして目覚ましい活躍を見せているリトさんですが、葉っぱ切り絵アートを始めるまでは、じつは「誰よりも仕事ができなくて怒られてばかりのダメ会社員」だったのだといいます。なぜアーティストの道を選んだのか、なぜ「葉っぱ切り絵」だったのか。どん底から自分にしかできない仕事を見つけるまでの道のりを語ってもらった2021年のインタビューを再編集の上、お届けします。

撮影/嶋田礼奈
リト@葉っぱ切り絵 1986年生まれ。神奈川県出身。葉っぱ切り絵アーティスト。自身のADHDによる偏った集中力やこだわりを前向きに生かすために、2020 年より独学で制作をスタート。SNSに毎日のように投稿する葉っぱ切り絵が注目を集める。「情熱大陸」(TBS系)、「徹子の部屋」(テレビ朝日)、「あさイチ」(NHK)といったTV番組や新聞など国内メディアで続々と紹介されるほか、米国、英国、イタリア、フランス、ドイツ、ロシア、イラン、タイ、インド、台湾など、世界各国のネットメディアでも、驚きをもって取り上げられる。全国各地での作品展を展開し、販売する作品は即完売する人気。初作品集『いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界』とメッセージカードブック『離れていても伝えたい』(ともに講談社)が大きな話題を呼んでいる。
Instagram @lito_leafart    
Twitter @lito_leafart  
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失敗ばかりのダメ会社員だった

「絵を描くのは昔から得意だったんですか?」「どこかで切り絵を勉強したんですか?」
そんなふうによく聞かれますが、答えは「ノー」です。

美術が得意なわけでも、かといってスポーツや勉強が得意なわけでもなく、リア充からもほど遠く、学生時代に打ち込んでいたものといえばゲームくらい。人に胸を張って「これが得意です」と言えるようなものは特にありませんでした。大学の商学部を卒業したあとに就職したのは、フードサービス関連の会社でした。

ここで“普通の会社員”として生きていくつもりだったのですが、「なんだかおかしい」と思ったのは入社してしばらくしてからでした。ある程度仕事内容にも慣れてきたはずなのに、いつまで経ってもみんなと仕事のリズムが合わない。自分では真面目にきちんと仕事をしているつもりなのですが、なぜかいつも怒られてしまうのです。

たとえば、「まぐろを切って」と言われて丁寧に切っていると「そんなに丁寧にやらなくてもいいんだよ! もっと適当でいいから」と怒られる。そこで適当に切っていると「もっとちゃんと切って!」と怒られる。どうやら人が思う「適当」と、僕の思う「適当」の加減が違うのです。

同様に、「集中して」と言われて集中して仕事をしていると、人が思っている「集中」と、僕が思う「集中」が違うみたいで怒られる。指摘されて反省はするのですが、直せなくてまた怒られる。やる気は十分にあるのに「やる気を出して」と怒られて、「やる気ってどうやって出すんだっけ……?」と混乱する。

そういうことが毎日のように起こり、上司も怒るを通り越して呆れて困ってしまっているようでした。何しろ社会人になって何年経っても、数ヵ月前に高校を出て入ってきた女の子のほうが何倍も仕事ができる、という状態だったからです。

「森の演奏会」目立ちたがりのハリネズミくんが勝手に指揮者役を担当してますが、手の動きはめちゃくちゃ。それでもみんなそれぞれ自由に演奏会を楽しんでいるみたい。(『いつでも君のそばにいる 小さなちいさな優しい世界』より)