事故から2年後、陸上競技をはじめることになった。事故に遭う前は走ることが好きではなかったが、ブレードと呼ばれる競技用の義足をつけて走る感覚の虜になる。走ることが好きになり、日本代表の選手にも選ばれた。競技の練習の日々でも、前川さんはおしゃれすることを忘れない。

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「以前、2年間ほど髪を染めるのを我慢していた時期があります。しばらく黒髪で生活をしていたけれど、髪を染めたいという欲求がどんどん出てきたんです。私にとって、好きなときに好きな髪型、髪色にできることがとても大事なことなんだと気づきました」

大切な大会の前には、髪色を変えたり、ブレードをステッカーでデコレーションしたりすることで気合を入れる。好きな髪型にして、好きなものを身につけ、自分が一番好きな自分でいられることが、実力を発揮することにつながっているという。

義足の女性がモデルのファッションショー「切断ヴィーナスショー2020」でボルトポーズをとる前川さん。21年11月に発売された越智貴雄写真集「切断ヴィーナス2」(白順社)より。

大会のときだけではなく、普段のコーディネートも義足を見せてファッションを楽しんでいる。今回の撮影も、お気に入りの私服を着てきてくれた。

「スカートをはいて、全身のコーディネートを考えることが楽しいんです。義足は靴下をはく必要はありませんが、今日みたいに靴下を合わせることもあります。古着やアクセサリーを組み合わせて、ストリートっぽいファッションにするのが好きです」

競技の他にも、アクセサリー制作、絵本の出版などクリエイティブに活動する前川さんは、いつかはユニフォームのデザインにも挑戦してみたいと夢を語ってくれた。義足の女性たちがモデルを務めるファッションショーに参加するなど活躍の幅を広げ、その美しさを発信し続けているが、自分の考え方を押し付けることはしたくないという。

「私は義足を見せることだけが、正解だとは思っていません。見せたくない人は、もちろん隠せばいい。髪型もファッションも、シンプルなものが好きな人だっている。みんながそれぞれの価値観を持っていることを理解して、それをお互いに認め合える世界になるといいなと思います」

今後は、神戸で行われる世界パラ陸上競技選手権大会、2024年パリパラリンピックに照準を合わせ、練習にもますます力を入れていく。多才な彼女の今後の活躍が楽しみだ。


●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
※本記事で紹介している商品の価格は一部を除き消費税を含んだ金額です。なお一部の商品については税込価格かどうか不明のものもございますのでご了承ください。
Photo:Natsumi Kinugasa Text & Edit:Saki Miyahara

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