世の中に料理レシピがあふれる中で、「繰り返し作りたくなるレシピ」はなにが違うのか。 
小学生の頃からレシピ本の魅力に取りつかれ、ケーキ屋さん、料理人に憧れるも、不器用で、センスも根気も足りずに断念。代わりに料理本の編集を20年以上も生業にしてきた筆者が、これまでに出合った数千もの料理本レシピの中から、「繰り返しお世話になっている」レシピを、本とともに紹介したい。 

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写真のないお菓子の本 

子どものころ、一番のごほうびは、お菓子作りをさせてもらえることだった。次は、何を作ろうかと、お菓子の本を広げては、わくわくしながら眺めていた。中でもお気に入りは、マドモアゼルいくこ著『おいしくて太らない 簡単で失敗しない 秘密のケーキづくり』だ。写真のない、文字とイラストだけのお菓子の本だが、著者の「ケーキ作りが好きで好きでたまらない」思いが伝わり、どのお菓子も「読んでいると食べたくなってしまう」のだ。 

「おいしくて太らない 簡単で失敗しない 秘密のケーキづくり」マドモアゼルいくこ著(主婦と生活社刊)。40年近くも世話になり、あちこちしみだらけになってしまった。

 バターもクリームもいらないケーキ 

この本のレシピは、とにかく作りやすい。高価で固いバターではなくマーガリンを使ったり、クリームチーズを裏ごししたり、砂糖をふるう必要はなし。紹介されている多くのお菓子が、家にある安価な材料をレシピ通りに混ぜていくだけで出来上がる。 

中でも、中学生の頃に初めて作って以来、デザートを切らした日や、りんごやヨーグルトを使い切りたい時にと、かれこれ200回近く作ってきたのが、「ヨーグルトポムポム」だ。卵、砂糖、サラダ油、ヨーグルトを混ぜ、粉とベーキングパウダーをふるい入れた生地に、薄切りにしたりんごをのせて焼く。お菓子作りに出てくる「固いバターをクリーム状になるまで混ぜたり」「卵を湯煎にかけてフワッとするまで泡立てたり」といった面倒な作業が何もない。材料を混ぜるだけでできる超簡単レシピだ