2022.02.19
# 韓国

韓国大統領選、“与党結束”狙った文大統領「怒り」発言が「逆効果」になるかもしれないワケ

韓国大統領選、選挙運動期間に突入

3月9日に投開票される韓国大統領選が15日、公式の選挙運動期間に突入した。

進歩(革新)系与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補、保守系の最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補、中道系野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補ら14人が候補者登録を済ませた。韓国の世論調査会社リアルメーターが13日発表した各候補の支持率調査によれば、尹氏が41.6%、李氏が39.1%、安氏が7.7%などとなっている。

李在明氏/photo by gettyiamges
尹錫悦氏/photo by gettyimages
 

公式選挙運動初日の15日、尹氏はソウルでの遊説で「今回の大統領選は、腐敗した無能を審判する選挙だ」と語った。釜山市で遊説を始めた李氏は「危機克服総司令官になって、韓国を世界5大強国にする」と訴えた。ただ、尹陣営が、李在明氏が城南市長時代に手がけた開発事業を巡る「大庄洞開発疑惑」を追求すれば、李陣営は、尹錫悦氏夫人の「経歴詐称疑惑」などを持ち出す、ネガティブキャンペーンも相次いだ。接戦が続いているため、こうしたなりふり構わぬ政治宣伝戦が最後まで続きそうだ。

投開票まで残り約20日となった現在、最大の焦点は安哲秀氏が13日に尹錫悦氏に提案した野党統一候補の行方だ。

安哲秀氏/photo by gettyimages

尹氏陣営は候補統一には賛成しているが、国民世論調査による統一候補選出という、安氏の提案したやり方には難色を示している。尹氏陣営の関係者は「李在明陣営は、尹氏より安氏を相手にした方が勝利しやすいと計算するだろう。李氏の支持者らが安氏を勝たせようとして国民世論調査に介入する恐れがある」と懸念する。小政党が推す安氏は組織力で、李在明氏に太刀打ちできないという見立てだ。韓国の国会(定数300)の勢力分布は18日現在、共に民主党172、国民の力106、正義党6、国民の党3などとなっている。

現在は接戦が続いているものの、情勢は野党にやや有利だとの見方も出ている。1日あたりの新型コロナウイルス感染者は最近、5万人を超える日が続き、18日午前零時基準では10万人を突破した。文在寅政権が昨年11月から始めた社会規制の段階的緩和政策(ウィズコロナ)は足踏み状態で、中小企業や自営業者を中心に不満の声が広がっている。耐えかねた韓国政府は16日、社会規制の緩和に踏み出す考えを示したが、感染者がさらに増える可能性もある。

外交・安全保障分野では北朝鮮が1月、7回にわたってミサイルを発射し、野党陣営は「文在寅政権の対北朝鮮政策は失敗に終わった」と宣伝している。北京冬季五輪開会式で韓国伝統衣装のチマ・チョゴリが中国少数民族の衣装として紹介されたことや、メダルが期待された男子スケートのショートトラック競技で韓国選手が失格となる騒ぎなどで、韓国内で「嫌中感情」も盛り上がっている。

中国や北朝鮮に融和的な姿勢を見せてきた李在明氏には逆風になる展開だ。与党関係者の1人は「今のままでも尹錫悦氏がやや有利な情勢だが、もし安哲秀氏との候補単一化に成功すれば、野党が悠々と勝利を収めるだろう」と危機感を募らせている。

関連記事