「2つの名前を使っていること」自体がリスクにも

訪日外国人観光客向けのスマホアプリサービスなどを展開するWAmazimgCEOの加藤史子さんはまさにそうした経験をしてきた1人だ。会社員時代に結婚して以降、旧姓の加藤で仕事をしてきた。起業した年に法人登記でも旧姓が()で併記できるようになったが、免許証やパスポートなど身分証明となる書類は当時結婚していた夫の姓「千葉」だった。法人用の口座を開設するために銀行に行った際、窓口で「この加藤さんという人と千葉さんが同一人物であることをどうやって証明しますか?」と問われ、証明に苦労したという。

-AD-

WAmazingは中国に子会社もあるが、中国には旧姓併記という考え方がないため、戸籍名の「千葉史子」として会社を設立。以来、例えば中国のビジネス会議やイベントに招待される時には「CHIBA」名で招待がくる。一方で名刺や登壇名は「KATO」を使っているので、入場の時に加藤と千葉が同一人物だと証明するのにいつも煩雑なやりとりをしなければならない。
「加藤はビジネスネームだと説明しても、そもそも旧姓の通称使用という概念がない国にそれを理解してもらうことは非常に難しい。理解されないだけでなく、2つの名前を使っていること自体であらぬ疑いをかけられかねない。そうしたリスクもはらんでいるのです」

Photo by iStock

加藤さんは離婚後も戸籍名は千葉姓を使い続けているが、それは子どもの姓を変えなくないからだ。さらに日本だけでなく、中国でも法人登記の代表者の名前を変えるだけで弁護士費用などコストがかかってしまうという事情もある。