2022.02.23
# 日本株

バフェットと孫子を並べて分かった、「戦わずして勝つ」という投資の極意

売り手が頭を下げている時を狙え
大原 浩 プロフィール

敵対的買収は資源とエネルギーの無駄遣いだ

意外に知られていないが、バフェットはコカ・コーラやアメックスのような大企業の株式の一部を購入するだけではなく、企業の丸ごと買収=M&Aを行うことも多い。

ターゲットになるのは、売上高が概ね1000億円以上(それ以下だと効率が悪いので基本的に避ける)のオーナー企業が多い。このM&Aにおいて、バフェットは敵対的買収を一切行わない。すべて友好的買収だ。

彼が敵対的買収を行わないのは「敵対的買収」=「戦闘」であり、被買収先という敵と一線を交えなければならないからである。もちろん、「戦闘」は孫子が教えるように「資源の浪費」である。

敵対的買収の問題点は、

1) 敵対的買収に対する企業防衛で企業の内部が荒れる。買い手は、ベストコンディションの企業では無く、うまくいってもこの荒れた企業を手に入れることになる。
2) 敵対する被買収企業がホワイトナイトなどの助っ人を探してくるので、両者の競合により買収価格が跳ね上がる。
3) 敵対的買収をすることによって貴重な経営者や従業員が逃げてしまう。

などである。

1と2はわかりやすいが、3については、「既存の経営者を追い出して、新しい経営者を投入した方が会社が良くなるのではないか」という考えもあるだろう。

しかし、バフェットはその考えを明確に否定する。彼は、「既存の経営陣が残留する」ことを「買収条件の重要な一つ」に挙げる。また、税金の問題もあるようだが、バフェット(バークシャー)の持ち分はおおよそ8割にとどめ、M&A後も2割程度は既存の経営陣に株式保有を依頼することが多い。

このような形にすれば、バフェットと買収先の経営陣(オーナー)の利害は一致して「戦闘」の必要など全くない。「共存共栄」を絵にかいたような形だ。

それに対して「敵対的買収」は何回も「戦闘」を繰り広げる。買収の際はもちろん、買収後既存の経営陣を追い出し新たな経営陣を投入しても、従業員をすべて入れ替えるわけにはいかない。退職者が出たり、リストラをすることがあっても、企業は結局「人」だから、既存の従業員が頑張らなければ買収先企業の発展はあり得ない。

 

だが、強引な手法でM&Aを行った新経営陣に対する既存従業員の警戒は強く、敵意もいだいているかもしれない。

すると、日々の業務の中で彼らと「戦闘」を繰り広げなければならなくなる。

結局、M&A案件が失敗する大きな理由の一つは「資源を無駄遣いする戦闘」である。逆に、バフェットのM&Aのほとんどが成功するのは「戦闘」を避け、「戦わずして勝つ」戦略を採用しているからだ。

SPONSORED