ドーピング問題と選手のメンタルヘルス

フィギュア女子シングルが終わった。ロシア代表のカミラ・ワリエワ選手のドーピング疑惑が付きまとう異例の大会となった。結果は、アンナ・シェルバコワ選手が金、アレクサンドラ・トゥルソワ選手が銀、日本の坂本花織選手が銅メダルに輝いた。ショート1位で通過したワリエワ選手は4位という結果となった。

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一番最後の演技者となったワリエワ選手はいつもであれば難なく跳べるはずのジャンプをいくつも失敗してしまった。15歳の少女にとってその時間はあまりに過酷で、悲しすぎた。SNSにもワリエワ選手のメンタルを心配するコメントが溢れている。

今回のワリエワ選手の件は、ドーピングはもとより、心も体も成長途中にある選手に無理な生活規制やプレッシャーを与え、とにかく勝てばいい、の指導になっていないかということ。精神科医としてもワリエワ選手のメンタルをとても心配しています。周囲の大人たちがきちんとフォローしてあげてほしいと願っています」

と語るのは、自らも高校時代フィギュアスケートをやっていて、現在ハーバード大学医学部アシスタントプロフェッサー、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長である小児精神科医の内田舞医師だ。

以前よりフィギュアスケーターや体操など、成長期の変化が深く影響する競技のメンタルヘルスについて関心を寄せていて、選手との対談なども行ってきている。今回のワリエワ選手の問題も単なるドーピングがあったかなかったのかに留まらず、若きスケーターたちが抱えるメンタルヘルスの問題をもっと多くの人が知り、語られるべきだと話している。

ショートプログラムを終えた後、緊張が解けたのか涙するワリエワ選手。photo/Getty Images

そんな内田医師が寄稿した、ワリエワ選手の問題。前編ではロシアのチーム・トゥトベリーゼの過酷すぎる選手養成について記事化した。後編では、行き過ぎた「勝つこと主義」のスポーツの在り方について考えてみたい。

以下より、内田医師の寄稿です。