体重管理は食事だけではなく排泄環境も大事

いきなりトイレに行けなくなるわけではなく、徐々に行けなくなることが分かっているのがALSという難病です。まだ行けている時点で診断が下った瞬間から「いずれトイレに行けなくなる」という想定を始めなくてはいけないのです。ALSに罹患した方の闘病記がSNSにたくさんありますが、多くの方がトイレに行けているかを書いていることが多いです。

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呼吸や嚥下の障害で始まった方は、同時に気管切開や胃瘻造設の話も出てくるのですが、足や手から症状が始まった方は、現状の動かせる状態を書いていきます。その時に一番伝えやすいし、読んでいる方にも分かりやすいと思えるのがトイレの話になると思います。私も足から始まってみるみるうちに足が動かなくなって、一番困ったのが「今後どうやってトイレで用を足そう」でした。

移動が8割がた車椅子になっても、まだつかまり立ちが出来れば用は足せます。ただ進行すると多目的トイレについているようなバーがなければ立てません。自宅のトイレの改修が必要になってきます。そしてそこでとどまらないのがALSなのです。やがてつかまり立ちが出来なくなるのです。私の場合は発症を意識したのが2019年3月で1年半後の2020年9月にはほとんどつかまり立ちが出来なくなりました。

このあたりから戻していた体重がガクッと減りました。ALSが進行して食欲が落ちたというよりは、ALSの進行でトイレに行けなくなり、自分で排泄行為が出来なくなった事でのストレスによる体重減少なのでした。健康な生活のために食べたり飲んだりしなければいけない事は分かっているのですが駄目なのです。一番最初の尿瓶の用足しの時には、出そうと思っても出てくれないものなのです。

人間のメンタルって凄いものだなと感じた瞬間でした。恥ずかしい云々ではなく、おしっこが溜まって膀胱がバンバンなのに、なかなか出なかったのです。最初に順調かなと思った差し込み便器での排便も、すぐに便秘になったり、出ると思って便器に乗って30分以上経過しても出なくてお尻が痛くなったりしました。体重管理の一番の問題は排泄行為の環境と、そこに介在する自分の精神状態が大きく影響したのでした。そして排泄行為の試行錯誤はまだまだ続いていくのです。
まだ安心しての排泄は出来ていなくて、試行錯誤をしています。次の原稿で引き続いて書いていきたい項目であります。病状の進行とともに排便のやり方も変わってくるということです。

津久井さんと妻の雅子さん。日々試行錯誤を続けています 写真提供/津久井教生

【次回は3月5日(土)公開予定です】

津久井教生さん「ALSと生きる」今までの連載はこちら

津久井さんが2021年2月17日に公開した動画。節分についての話をしています。恵方巻もしっかり食べました!