健全な排泄行為が気持ちに与えるものは

ALSに罹患した当初、周囲の方から「身体に良いもの」をお守りと同じくらいか、それ以上に送ってもらいました。元NHK歌のお兄さんで長年の付き合いである坂田おさむさんはご自分が愛用する健康食品を「勝手に応援隊」と称して、温かい手紙と共に送ってくれています。口にするたびに気持ちが上がっていきます、効果がないはずはありません。

元NHKのお兄さんで長年親しくしている坂田おさむさんと 写真提供/津久井教生
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声優の先輩である田中真弓さんから送ってもらった食品は「弟を心配する実家の姉」からのようで力をいただきました。身近な方から頂いた食品に「よし、身体に良いものをたくさん食べるぞ!」と精神力をアップさせてもらいました。実際にかなり体重を戻しましたし、良い感じでALSと戦い始めたと思いました。食べられるということは、自分自身の自信にもつながっていく行為だと思います。

田中真弓さんから実家の姉のような贈り物が! 写真提供/津久井教生
田中真弓さんから贈られてきた愛! 写真提供/津久井教生

ところが、この食べる・飲むという一番の対症療法に水を差したのが「排泄行為」なのです。最初動いていた手や足が動かなくなっていく中で、一番日常生活で困ったのが排泄行為なのです。食事が出来ない、着替えられないよりも「トイレで手が使えない」。そして歩いて移動が出来ない中で「トイレに行く事が出来ない」、このことが恐怖に近いような現象としてALS罹患者の私に襲ってくるのでした。

「大変だからなるべくトイレに行きたくないな」という気持ちが知らず知らずのうちに膨らんできてしまいます。そしてそうするためには「なるべく食べたり・飲んだりすることを控えよう」という観念を芽生えさせることになるのです。とくに楽しみにしていたお出かけであればあるほど、その気持ちは強くなります。なぜならば外出先での「排便行為」は大変な作業なのです。

これはALSに罹患して中盤くらいで手や足が動かなくなってきている状況の罹患者が対象になります。自宅のトイレに行けなくなり、介助や用具を使って簡易便器に移行している人は多目的トイレでの排便が難しくなってきます。私のようにベッドの上での排便行為しかできない状態になると、多目的トイレでは出来なくなります。これが精神面に影響を及ぼすのです。