ALS(筋萎縮性側索硬化症)を検索すると「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明が多くあります。もう少し詳しい書き方を探すと「筋肉が動かなくなってしまう」という説明がなされています。そして「現在、効果の認定されている治療法がない」と言われていることで知られています。前回は、体重減少の話を中心に対症療法などのお話をしました。今回は引き続き体重管理の話をしながら、自分を含めたALS罹患者の対症療法についての色々な思いをお話ししたいと思います。

「ニャンちゅう」の声をずっと務め、先日声優アワードの「キッズファミリー賞」受賞が発表された声優の津久井教生さん。舞台も精力的にこなしていた津久井さんが足に違和感を覚えたのは、2019年3月のことでした。なぜか突然転びやすくなったのです。それから検査入院を経て、ALSの告知を受けたのは9月のことでした。現在は手足はほとんど動かなくなり、要介護4となって24時間体制の介護に移行しています。意識があるなかで思うとおりに体が動かなくなる難病。その現実と向き合いながら、家族やヘルパーの方々と共に前に進んでいるのです。

原稿を打つのは口に割り箸を加えて行い、「他人が24時間いる状況」を理解して、任せようという体制にするために大切なのは「気持ち」の問題も大きくありました。その「気持ちの問題」の際たるものが、排泄問題です。きちんと食事をとって体重維持を大切にしたいと思いながらも、食事とセットになってくるもの。そしてなかなか心がついていかないもの。津久井さんがどのように現実と向き合い、受け入れていったのか。率直に伝えていただきます。
2020年の「ニャンちゅう」チームの皆さん。左から比嘉久美子さん、津久井さん、鎮西寿々歌さん。鎮西さんはツイッターで「キッズファミリー賞」受賞にお祝いのメッセージも! 写真提供/津久井教生
津久井教生さん連載「ALSと生きる」今までの連載はこちら
-AD-

「今が一番元気」な事を踏まえて

前回の連載を読んだ方から「普通運動不足で食べていたら太るのではないですか?ALSは不思議な病気ですね」というコメントをいただきました。そうなのです、よくテレビでベッドの上で何百キロにもなった方がダイエットをする番組などがありますよね。やはり食べたり飲んだりする量によるものもあるのだと思いますが、ALSは基本的に筋肉量が減っての体重減少なのです。そして嚥下機能が低下して食べられる量も減ってくるのだと思います。カロリーコントロールも医療の角度からしてもらう事がほとんどです。

「食べさせてもらうこと」にはどんどんと慣れていく事が出来ると思います。ヘルパーさんとのコミュニケーションが成立してくるとともに、どんどんと改善されていったのが食事介助であると思います。すぐに「もういいかな」と思ってしまっていた食事が、口に入れてもらう事に慣れ、会話を織り交ぜながら時間にゆとりをもって食べることに慣れていくのです。

そうすると徐々に食事量も増えていきます。これは時間を気にしないですむ24時間の重度訪問介護であったことも良かったのだと思います。誰かがずっといるという事でのストレスは確かにあって、ストレス性の腸炎になっていつもお腹がゴロゴロしていた時にガタッと食欲が落ちました。それでも「これを全部食べる」と宣言をして頑張って妻の手料理を食べました。

好物のハンバーグ・サラダ・野菜の煮物・酢の物・ご飯少しを1時間以上かけて食べていました。この状態で思ったことがあります。もともと早食いが自慢だったけど、かえって体に良いのではないかな、少し時間はかかり過ぎだけど(笑)。食べている時間よりもお喋りをしている時間の方がはるかに長いのです、でもそれだから食べられたともいえます。

肉が大好物という津久井さん 写真提供/津久井教生