65歳妻が絶句…夫の死後、“一家総出”での「遺産探し」を強いられたワケ
探し出すべきは「預金通帳」遺産の在り処がわからない
「私…、もう、生きていく力がありません」
最愛のご主人を失った野中さん(65歳、仮名)は、痩せ細り、憔悴しきったご様子で私の事務所にいらっしゃいました。
野中さんご夫婦はどこへ出掛けるにも常に一緒で、近所でも大変仲が良いと評判の“おしどり夫婦”でした。しかし、ご主人に末期のがんが見つかり、発見からわずか1年でお亡くなりになったのです。

あまりに突然の別れに奥様は憔悴しきっていましたが、幸い一人息子がいたため、相続手続きはその息子さん主導で進めることになりました。
しかし、追い打ちをかけるように問題が発生したのです。
野中さんご一家の財産管理は、すべて亡くなったご主人が担っていたため、奥様も息子さんも遺産がどれだけあるのか、どの銀行や証券会社と取引があったのか、まったく分からなかったのです。
難航する遺産探し
身近な方が亡くなると、残されたご家族は限られた時間内に“相続山”を登る必要があります。(相続の手続きは「進むべきルート」と「順番」が決まっているので山登りに例えるとわかりやすいです※“相続山”の詳細)
相続山1合目は『役所手続き』、2合目は『相続人の決定』、そして3合目は『遺産探し』が待っています。
相続人が亡くなった方の財産を引き継ぎ、必要に応じて相続税の申告をするために、必ず相続山3合目の『遺産探し』が必要になるのです。
具体的に探すべき遺産は、現金、預貯金、有価証券、土地、家屋、自動車、貴金属、ゴルフ会員権、貸付金、借地権、生命保険など、お金に見積もることができる経済的な価値のある全てのものが対象になります。
一般的に亡くなった方と同居していた家族がいた場合、その同居家族が遺産の在り処を把握していることが多いため、相続山3合目の遺産探しで苦労することは少ないでしょう。
しかし、亡くなった方が1人暮らしだった場合や、野中さんのように同居家族が遺産の在り処を把握していなかった場合には、遺産探しは難航を極めます。