熱と光をくれるもの

あたいらゲイ風俗のボーイという生き物は、明日指名があるかも分からない。いきなり病気を移されて仕事を辞めなきゃならないかもしれない。身バレしてゲイ風俗勤めだと周りに言いふらされるかもしれない。将来どうすればいいか分からない。いつまでこの仕事ができるか分からない。いつまでみんなとつるんで、こんなふうに遊べるか分からない。そんな不安を抱えて、ゲイ風俗に勤務していた。

しかしラーメンを食べるその間だけはそれを忘れて夢中になれた。そしてお腹がいっぱいになれば「明日からもまた頑張ろうな」って言って、悩みなんてまるで無いみたいに前だけ向いて帰路につけるような、そんな暖かさがあった。

天下一品を食べた夜には、熱と光があったのだ。

写真はイメージです。Photo by iStock
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あたいはその成功体験をなぞるように、天下一品に行っているのかもしれない。

そう思うとうつ病になってから、何も食べられないような時期を乗り越えて、しょっちゅう天一のこってりラーメンを食べに行くようになった頃のあたいは、「またあのラーメンで幸せになりたい」って思えるほどにはなっていただろう。

・こってりラーメンを食べて→幸せになった。

という成功体験を知っているからこそ、

・幸せになりたい→こってりラーメンを食べる。

というような略式があたいの中にあったのかもしれない。

つまり、あたいがこってりラーメンを求め始めた時、それはうつから来る虚脱感に襲われて「もう死んでもいい」と思っている状態から抜け出して、少なくとも「幸せになりたい」と思えるくらいに、前を向き始めていた合図でもあったのだ。

みんなにもそういう《いつだって自分を救ってくれる成功体験》ってものがあるだろうか。

もしも思い当たるものがないのなら、幸せな時に天下一品のこってりラーメンを一度食べに行って欲しい。

必ずあんたに熱と光をくれるはずだから。

みんなの人生にも、幸とこってりあれ。ラーメン

《終わり》

もちぎプロフィール
元ゲイ風俗とゲイバーで働いていたゲイ。ギリギリ平成生まれ。
現在は学生兼作家。作家としてエッセイやコラム、小説などを手がける。取材や対談などで得た知見や、経験談などをブログやツイッターにて日々更新している。ネコチャンと6年間暮らしていた。今はネチコヤンと暮らしている。最新刊『あたいとネチコヤン ゲイが猫を飼ったら終わりよ!!!!』が2/18に発売。3/11には『このゲイとは付き合いたくない!!!(2)』が発売!
3人のゲイが織りなす、笑ってしんみりしてちょっと愛おしい日々を描いた
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