Twitterフォロワー数は59.6万人、『このゲイとは付き合いたくない!!!』(講談社)、『ゲイ風俗のもちぎさん』(KADOKAWA)など数々のヒット作を持つ人気ゲイ漫画家・小説家の望月もちぎさん。気性の激しい母の元、幼い頃から母子2人きりという家族環境で育ち、高校生になると母親に「家にお金を入れろ」と求められ、ゲイ風俗で働き始める。そして18歳で、遂に家出。ゲイ風俗で働きながら何とか大学を受験し入学、そして卒業。企業に就職するも、うつ病を発症して退職する。

そのうつ病について、もちぎさんがご自身のnoteに投稿したエピソードが話題になった。ご本人の許可を得て、そのnoteを転載した前編【ゲイ作家もちぎさんが語る…新卒で入った会社を辞める時、うつ病になった話】から続く中編です。

まさか自分がうつ病に

今まで、うつ病だと打ち明けてくれた人があたいの周りにもいたけど、当時はそれを腫れ物のように感じていて、相手のことを特別弱い人かのように捉えていた。そして傷つけてはならない人だと半ば憐れんで扱っていたのだ。

別にうつ病の人のことをあからさまに見下していたわけではない。けどどこかで「心に傷があって可哀想な人だから、こちらからうつ病に関して触れないでおこう」と考えていたのだと思う。

写真はイメージです。Photo by iStock
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あたいにとってメンタルのケアが必要な人ってのは、母ちゃんのような《簡単には救われない人》だという認識が、その時にはあったからだ。

だから自分がうつ病だって言われた時「まさか自分が」と衝撃に打ちひしがれた。そして「今までこんなにも様々なことで必死に生き抜いてきて、誰かに頼りにされたりもしてきたし、偉そうにもアドバイスしてきた人間なのに」と恥ずかしくなった。

当時のあたいはまだまだ若かった。自分の人生に一点の後ろめたさもなく、むしろ全て前向きに捉えていた。

母親との訣別や、未成年で家出をしたこと、母子家庭で貧窮した育ちのこと、経済的虐待を受けて育ったこと、売春やゲイ風俗の経験をしたことーーそれら全てを生き抜いてきた証だと感じていたし、その半生でもへこたれることなく大学進学したり就活を勝ち抜いたことを誇りにすら思っていた。だから自分は限りなく強い人間なんだと信じていた。

でもそれは虚勢と虚栄心だった。人と違う経験をしたからって人より優れているわけじゃ無いのに、あたいが自分を「できる人間だ」と過信していたのは、そう思わなければ周りの優秀な人より、比較して劣っている無能な自分を認めるのが怖かったからだ。